こんにちは。マニーです。
今回は、マビノギの時間変化の構築に尽力してくださった、
テクニカルアーティストLさんの時間変化制作記をご紹介します。
興味深く見ていただければ幸いです。
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マビノギはリアルタイムで時間が変化するゲームであるため、
Unreal Engine 5ではさらに一歩進んだ動的な環境を構築することを目標としました。
現実と同じようにゲームでも環境要素は非常に多様ですが、
まずは1日の時間の流れを表現することに重点を置き、
TOD(Time of Day)と呼ばれるゲームの1日の時間帯の開発を開始しました。
ゲームでも時間の変化は、単に光の明暗の変化だけでなく、
大気、霧、雲など光と一緒に作用する様々な環境要素も有機的に変化させる必要がありました。
それでは、「マビノギの1日」を開発していく過程を見ていきましょう。
1日の時間の変化の流れを思い浮かべると、
朝日、正午、夕暮れ、そして夜空の月明かり…
このように光の移動と影の変化がまず思い浮かぶと思います。
時間の流れによって光の位置が移動し、影の形にも変化が生じるものです。
初期の開発テスト段階の下の資料では、
光の動きに合わせて影が側面から移動し、影の長さが長くなったり短くなったり、
また長くなったりする様子が見られます。
(時間の経過に伴う光の移動と影の変化)
一方、マビノギの時間の流れは、地球の自転、公転周期とは異なる表現であるため、
Unreal Engineでの光の移動方向もマビノギライトの動作を分析してアプローチしました。
そして、マビノギのように物体を中心に影が360度回転するマビノギの太陽時計が作動する形で、
原作の表現方法を忠実に再現しながら開発しています。
(左:プレイオネ / 右:Unreal Engine)
再び初期の開発過程を振り返ると、
Unreal Engine 5での光の仕組みは、Unreal Engine 4とは異なり、
完全なリアルタイム光源表現が可能になりました。
Lumenという新技術をマビノギにも適用するため、テストに追われる日々が続きました。
説明に先立ち、Lumenのコア機能を一言で言えば、
完全に動的に光の表現が間接光を含め、
表面の反射表現でもリアルタイムで光に反応するUnreal Engine 5の新しい照明システムです。
(時間経過に伴う光強度の明るさと色温度の変化)
新しい照明システムであるLumenは、照明の変化をリアルタイムで計算するため、
時間帯の変化や光源の移動など、環境の変化に即座に反応します。
そのため、現実世界と同じような原理で、ゲーム内でも照明環境を瞬時に変化させることができるようになりました。
これにより、非常にリアルな照明効果を表現できるようになり、マビノギでも環境演出がより自由になりました。
(時間の経過に伴う物体と照明との反応の変化)
また、環境における時間の変化の流れを最もよく表すものの一つとして、
空に浮かぶ雲の移動や形の変化を挙げることができるでしょう。
光がリアルタイムで変化するように、これと共に雲や大気にも変化が表現されるべきです。
ゲームでも雲を表現する手法はいくつかありますが、
リアルタイムに変化する光に応じて作用するVolumetric Cloud で雲の表現を実現しています。
Volumetric Cloudは、ゲームやシミュレーションでリアルな雲をリアルタイムで生成する機能です。
Unreal Engineで、雲は光と相互作用する方法でシミュレーションされます。
これにより、雲が光を浴びて明るくなったり、影が落ちたりする効果をリアルに表現できるようになり、
他の気象効果や時間の変化とうまく統合することができ、全体的な環境を自然に作り上げることができるようになりました。
(時間経過に伴う雲の生成・消滅形状の変化)
また、Unreal Engine 5では、大気の状態をリアルタイムでシミュレーションすることで、
非常にリアルな空を表現できるようになりました。
太陽の位置、大気の散乱効果、時間帯の変化などを考慮し、
空と大気の色や照明を動的に変化させることができ、
太陽の光が大気を通過する際に発生する散乱現象をリアルタイムで計算し、
非常にリアルな空の色を表現できるようになったのです。
つまり、Unreal Engineで太陽と月の位置を正確に追跡し、
高度と時間帯によって変化する光と影のシミュレーションが可能になりました。
これにより、距離と高さによって霧の中で光がどのように広がって見えるかを調整することができます。
空間全体にわたって霧の密度と色をリアルタイムで計算しする、
非常にリアルな霧効果で視覚的な奥行きと雰囲気を効果的に実現することができます。
これらの機能により、自然に変化するマビノギの環境を表現できるようになりました。
(時間経過に伴う霧と大気の状態の変化)
上記のように、各環境要素が機能的に連動して変化を与えることができる開発テストを行い、
コンセプトアートに合ったマビノギならではの時間帯の変化を与えるために、昼/夜のコンセプト表現に集中し始めました。
理解を助けるために、例を挙げると、
以下のイメージの開発過程で、遠景/中景/近景が分かれる遠近感の表現、
空のグラデーション効果の表現など、環境に豊かな色彩感が表現できるように、光に反応する大気の散乱効果と
霧に映し出される物体の色味の変化など、
近距離の暖色系の暖かさを遠距離の寒色系の清々しさを表現しようと、
有機的に関連する機能でマビノギならではの1日の時間帯表現を開発しています。
このように昼/夜をはじめ、夜明けの空、
夕暮れの空によって光が散乱した大気の色や温度感、
天候の変化による雲の変化などカラフルで豊かな色彩の環境を作るために、多くの悩みがつきまといますが、
地域の特色やシーズンイベントにも変化を与えることができる環境まで考慮し、
これからミレシアンの皆さんに、より美しくなるマビノギの世界を見ていただきたいという思いで
開発に取り組んでいます。
現在までの進捗状況ですが、1次完成のゲームプレイバージョンは以下の動画で確認することができます。
(TOD24時間1次完成ゲームプレイバージョン)
最後に、お待ちいただいている多くのミレシアンの方のために少しだけお知らせすると、
現在も課題が山積していますが、アート開発とプログラム連動テストを進めながら、
曇り、雨、雪が降る天候の表現など
マビノギの気象システムとして拡張させるべく、開発にさらに拍車をかけています。
ミレシアンのために、
マビノギならではの一日一日を作るために最善を尽くしています。
ありがとうございます。
『Writer マニー』