こんにちは、背景モデラーのションションです。
ミレシアンの皆さんが暮らすことになるティルコネイルをリモデリングする過程の一つである
テクスチャ制作についてお話ししたいと思います。
Unreal Engineに移行したら背景のグラフィックもよくなるはずなので…
素材ごとの特徴が際立つようにノーマル、ラフネス、スペキュラを盛りだくさん取り入れて
リアルタイムライトに反応させればいいんじゃない?
今まで作りたかった背景を全部作ってあげるよ~アハハハハハハ!!!!
魅力的な背景を作りたいという気持ちがますます強くなりました!
しかし…
ガーン…
「私たちのマビノギは…こんなものではありません…」スカルプティング(グラフィックツールを使って彫刻を施す)を頑張りすぎて、
マビノギならではの無垢の木の感じが出ないし…
ノーマル(ローポリゴンをハイポリゴンの立体的な感じに実装)を強くしたところ、
マビノギならではの透明感が出ませんでした…
心が折れてしまいました。
しかし、気を取り直して初心に戻り、マビノギの背景の特徴を決定づける要素は何なのかを考えてみました。
マビノギはカートゥーングラフィックです。
環境設定でフラットな感じが独特の2D感を出しており、
塊感を生かすためにディフューズテクスチャにコントラストが強く表現されています。
背景のフォルム感や比例は写実的な比率よりも少しシンプルでカジュアルな感じでしたが、
それに比べてテクスチャは思った以上にリアルに近いディテールさがあります。
このような部分でマビノギの背景のアイデンティティが追加されていました。
(木の質感がよく分かるトーナメント会場)
(豪華な大理石の床に石の質感をよく表現しているアヴァロン)
まさにこれでした。
何よりもテクスチャの役割が大きいことを実感しました!!!!
独特のすっきりとした整頓された感じは、テクスチャからくるもの!
だから…
早速テクスチャを制作してみました。まずは、形作り。どの程度までスカルプティング(グラフィックツールを使って彫刻を施す)をすべきか?
ノーマル(ローポリゴンをハイポリゴンの立体的な感じに実装)で表現する部分と
ディフューズ(オブジェクトの基本色)でテクスチャに表現する部分の範囲を決めました。
スカルプティング(グラフィックツールを使って彫刻を施す)では大きな塊、角のエッジ部分をきれいに処理し、
木のテクスチャの部分は大きなクラックを入れる程度にしました。
作業の効率も重要なので木目の感じはツールでアルファで製作して入れました。
2つ目は、ディフューズ(オブジェクトの基本色)のテクスチャ制作。以前はテクスチャ制作にPhotoshopで写真のテクスチャを合成したり手描きで制作していましたが、
今ではZbrush、Subtanceなど様々なツールが使われています。
マビノギのテクスチャを見ると実写に近いテクスチャを使用しており、密度が高いことが確認できました。
写真のテクスチャ合成による加工された感じの半実写、または細かくスタイライズされたテクスチャの感じです。
20年前に制作されたものなので写真合成の感じが強く出ました。
代表的にトーナメント会場を見ると漫画的な感じと実写感が混在しており、
細かな表現で明確できれいに製作されたことが分かります。
このような部分を反映するために、
制作ツールで木目が表現されたテクスチャをベースに一つずつ重ねながら作成しました。
シャープフィルター(鮮明に見せる効果)を使用してハイライトと描写された部分をもう少し明確に表現し、
特にエッジ部分のハイライトと陰影処理をきれいに表現するためにはハイポリゴン制作時に注意しなければなりません。
物理ベースレンダリング方式で表現していたディフューズマップとは異なり、ハイライトと暗い部分を強く表現するので
ごちゃごちゃしているとディフューズもすっきりしない傾向があり、
マビノギ背景のすっきりとした美しさが損なわれてしまいます。
「まだ木が湿っています…もう少ししっかり乾かしてください!」
乾いた感じとは一体何なんだろうと悩みながら…
果てしないフィードバックの時間が過ぎた後…
ついに見つけた!
完全に乾いた木の感じ!!これだったんだ!ううっ…
道のりは大変でしたが、マビノギならではのスタイルを新しいエンジンにうまく落とし込める土台ができたと思うと、
とても誇らしいです。
(左)既存リソース(右)エタニティリソース
(左)既存リソース(右)エタニティリソース
タイル製作も大変でした…タイルも実写に近いテクスチャを使っていて、密度が高い方でした。
写真のテクスチャから合成による加工された感じの半実写、
または細かいスタイライズされたテクスチャだと思い込んでいて2つの方法でテストしてみました。
サブスタンスデザイナー(テクスチャ制作ツール)で制作(土/草)
写真+pbr(物理ベースレンダリング)リソース合成(土/草)
サブスタンスデザイナーの制作方法(スタイライズされた感じからよりリアルな描写にしてくれる)
メリット:作業リソースが蓄積されると、ノードの再構成/流用することで異なる感じのタイルに素早く作業することができる。
デメリット:写真のようなディテールな表現に時間がかかる。
写真テクスチャ/pbrリソース+サブスタンスデザイナー/サンプラー=合成
メリット:作業のスピードが上がる。
デメリット:写真リソースに依存しなければならないので表現に制限がある。
それで出した結論は…リアルな表現が難しいもの…例えば草とか石…などの自然物では
写真テクスチャやpbrソースを活用して制作した方がよさそうで、
デザイン要素が入ったものは
サブスタンスデザイナーなどのツールを活用して製作するのが適しているという結論を出しました。
(地面の土、草タイル)
(広場の石タイル)
(左)既存リソース(右)エタニティリソース
このような過程を経てティルコネイルが作られました。
(基礎工事から建物配置まで)
(ティルコネイルタイムラプス)
振り返ってみると、本当に多くのことがありました。
まだやることはたくさんありますが、スタイルが決まったので次はもう少し作業スピードも上がると思います。
(どこか分かりますよね?^^)
マビノギエタニティの背景グラフィックはこのように制作されています。
よろしくお願いします~!『Writer シャンシャン』