ETERNITY

アートテクニシャン~キャラクター制作編


2024/01/31 11:02:33
ほとんどのゲーム開発プロジェクトがそうですが、

「マビノギエタニティ」プロジェクトは、特に各分野の専門テクニシャンが必要な状況でした。



既存のアートリソースがどのようにエンジン内でレンダリングされているか、

それを新しいエンジンに適用するにはどうすればいいのか。

マビノギには様々な形の衣装や髪型が存在するのですが、

それをより自然に表現するためにはどうすればいいのか。



新しいエンジンに移行すれば、本当はやりたかったけど、

旧エンジンという壁に阻まれて表現できなかったものを全て表現できるだろうか。



このすべてに答えを出してくれる人が必要だったからです。

普通はアーティストとプログラマーが協力して解決していくのですが、

より迅速かつ安定的に開発するためにはコミュニケーションの階層をシンプルにしなければなりませんでした。



そこで私たちは早速、専門家の方々を集めました。

キャラクター/背景モデル、アニメーション、エフェクト、UIなど各分野のアーティストとして

技術的な知識と経験を持つアートテクニシャンとシェーダー開発や最適化などエンジン内の

グラフィックの問題を処理するテクニカルアーティストもアサインして開発初期から今に至るまで頑張ってくれています。



本日はキャラクターシェーダーの開発秘話を中心に、

アートテクニシャンがプロジェクト内でどのような活躍をしているのかをご紹介します!

マビノギのアートテクニシャン~キャラクター制作編!早速始めましょう!



シェーダー移植、コードをそのまま適用すればいいのでは?

…と、私も思ったことがありました。

こんにちは。マビノギエタニティのアーティスト、マニーです。

まずそれは半分は正しくて半分は間違っています。

コードの構造を把握してUnreal Engineに合った形で適用すればいいのは確かですが…。

問題はそのコードが非常に断片化していたことです。

もちろん、リソース構造と最終的なレンダリング結果を見ればどのようにシェーダーが構築されているかが分かります。
しかし、私たちにとって重要なのは推測ではなく正確な計算です。

特にマビノギは色の重要性が非常に高いので適当に再構成することはできません。


(計算を少し間違えるだけで全く違う結果が出力されます。)



アートリソースの制作過程を振り返り、

データベースやレンダリング関連のコードを一つひとつ分解して分析し始め、

有意義な情報を集めることができました。



その結果…



(プレイオネシェーダー移植成功の記念にUnreal Engineにアップしたナオ)



根本的なエンジンの違いによるギャップは存在しますが、

既存のプレイオネのシェーダー情報を正確に移植することに成功しました。



しかし、ここで終わりではない!

シェーダー移植に成功した喜びを満喫していた私にたくさんの声が聞こえてきました。



「私たちって、照明を当てられたらキラキラ光ったりするんですか?

自分のキャラクタースクショを撮る時に照明を設置することができるんですか?」


「今はアウトラインが見えたり、見えなかったりするけど、

常に見えるようになりますか?アウトラインの色も染色した色になるんですか?」


「髪の毛が服を突き破って出ているけど、

これも全部直してくれるんですか?アバターが風になびいたりするんですか?」


「私たちは今……」




…はい。当然のことですが、これからが本当の始まりでした。

幸いなことは、各分野の専門家の方々をアサインしておいたことです。



「キャラクターシェーダーで様々な光源に反応できるようにお願いします!」



そんなの当たり前だろうと思われるかもしれません。

Unreal Engineを使用すると、3Dモデルが様々な光源に反応するのは当然のことですから。

ここで担当者の説明を聞いてみましょう。




エタニティプロジェクトでは現行のマビノギのフラットでありながらも独特の色味を継承しつつ、

様々な光源と相互作用できるようにすることが目標です。

しかし、Unreal Engineが提供する基本のシェーディングモデルでは2つの目標を同時に達成することは難しいため、

エンジンコードを修正してカスタムシェーディングモデルを製作しました。

微細表面両方向分布も関数を減らし、表面に当たる光の量と色を調整できるように修正し、

漫画のような表現ができるようにしながらも様々な固定/動的光源の影響を受けるようにチューニングされ、

キャラクターシェーダ作成者に提供されました。



簡単に言うと、Unreal Engineが提供する基本のシェーディングモデルのみを使用した場合

リアルな光の表現により、マビノギならではの雰囲気が損なわれるか、

様々な光源に反応できないか、どちらかの結果しか見られません。

その解決策は様々ですが、私たちはマビノギならではのシェーディングモデルを製作する方法を選びました。


こんな感じです。


-UIテクニシャン/エンジンシェーダーコード担当者Kとのインタビュー中




「いいですね!今度はアウトラインも描いてください!」



アウトラインはあるかないかによって印象が大きく変わったり、

背景とキャラクターを視覚的に分離してくれる要素でもあるのでカートゥーン風のシェーダーでは必要な要素です。

その分、様々な研究も行われています。

マビノギの場合、非常に細いラインのアウトラインを使用していますが、エンジンの限界により、

半透明の物体や一部の互換性の問題で適用が難しい部位には描いてない場合があります。

性能やアンチエイリアシングの問題など様々なサイドエフェクトが多く、

新しいエンジンではそれらをすべて解決しなければなりませんでした。

担当者の回顧を聞いてみましょう。




アウトラインを処理する方法はいくつかありますが、マビノギに合った方法を見つけるために試行錯誤を繰り返しました。

工数を抑えつつ、マビノギらしいスタイルの感覚的なアウトラインを作り出すためにScenedepth処理を選択しました。

単に既存の雰囲気をうまく移植するだけでなく、 服の色が映えるように、距離が離れてもラインが一定になるように、

遠ざかるとラインが消えるように、特定の部分は描くこともあれば描かないこともあったり、

半透明の素材でラインが見えるように…など様々な問題に遭遇し、また対応しました。

オープンされていない技術を混ぜて適用し、キャラクターアーティストの方々と一緒に作業する過程がとても楽しかったです。

マビノギを楽しくプレイしている8年目のミレシアンとして、エンジン移行のニュースを聞いて嬉しかったんです。

そしてその過程を一緒にできる幸せをかみしめながら頑張って作業をしています。




- テクニカルアーティストJとのインタビュー中



「じゃあ、肩関節脱臼は?これからは衣装もヘアも全部動くんですか?」



実はUnreal Engineへの移行が決まってから肩関節脱臼と一緒に最もよく聞かれる話の一つでした。

私も開発者である前にミレシアンとして切に願っていることでした。

この部分はプログラマーの方とアニメーションのテクニシャンの方が頑張ってくれました。

詳しい話を聞いてみましょう。




従来のマビノギでは肩関節脱臼などのボーンが不足しており、

キャラクターが動くとポリゴンが割れるなどの問題がありました。

エタニティでは肩や骨盤などができるだけ自然に見えるように、そして指の細かい部分も表現できるように、

従来のマビノギとは異なる多くのボーンが追加されました。

また、カスタマイズでももっと自然に見えるように追加のボーンが設定されました。

このように多くのボーンが追加されることにより、

従来のマビノギのアニメーションファイルをただ移植するのは難しくなりました。

従来のマビノギのアニメーションをベースに、指などの追加部分は作業を進めています。

そして衣装もとても豊富です。

一般的なMMORPGのプロジェクターではボーンを設定し、

衣装デザインをボーンの位置に合わせてデザインすることが多いですが、

マビノギは既に様々なデザインの衣装があるため、衣装にボーンを合わせる必要がありました。

上記のような状況により、技術的に問題がある部分が多くありました。

無限にボーンを追加することもできず、無数のボーンを一つひとつアニメーション化したり、

コントロールすることもできません。

Unreal Engineの機能(リターゲティング+コントロール)で上記のような問題を解決しようとしました。

また、自然な動きのためにヘアやスカートなどの部分は積極的に物理学を活用しています。




- テクニカルアニメーターLとのインタビュー中




このように、多くの専門家の方々がマビノギのエンジン移行を成功させるために努力をしています。

もちろんまだやるべきことはたくさん残っています。

テクニカルなアートイシューの核となる部分は処理されていますが、それ以外にも素材の表現など、

マビノギをより豊かにしてくれる要素が無数にあるからです。

マビノギのエンジン移行が成功するその日まで、もちろんその後も継続的に最善を尽くしますので

応援のほど、よろしくお願いします!


『Writer マニー』