ギルド掲示板

5分でわかる錬金術講座
sagami 06/04/04 12:37

卒業やら入学やらの風景を見ていると、大学時代の事をふと思い出したり。
あの頃は西洋史にどっぷりハマってて、錬金術とか研究してたなぁ・・・
卒論の題目が「錬金術における賢者の石の変遷と定義に関する一考察」という偉そうな名前で、教授に「題名長すぎ」と突っ込まれたものです。
 
という、我ながらムチャ振りもいいところで錬金術のお話をしてみたいと思います。

 

錬金術の中でおそらく最も有名なもの、それが「賢者の石」
哲学者の石
エリクシール赤い第五元素など、呼び方は色々あるが、共通する本質的な概念は「物質構成の補完、治癒力を持つ万能の存在」であると信じられていた点だ。
つまりこれさえ作れれば黄金を作り出すなんて思いのまま、というわけで中世以降の錬金術は賢者の石を作り出す研究が主流とされた。
 
 
じゃあなんでそんな漫画みたいな効果の物質が信じられていたかというと、世界の全ての物質は水、土、火、空気の4つでで構成されている、という古めかしいにも程がある四大元素説が、なんと中世まで当たり前だったせいなのだ。
 
 
中世に入っても、「全ての金属って硫黄と水銀から出来てるんじゃね?」っていう五十歩百歩の硫黄・水銀説に軟着陸しちゃって、銅は硫黄が足らないから金に成り損なっているとか、スズは水銀のせいで病気にかかっている銅だとか、かなり迷走に近い研究が続けられた。
 
その末
「世の中に金はあるんだから、どこかで作り出されてるはず。つまり、足らない硫黄とか多すぎる水銀を補正する物質があるはずなんだ!」
という妄想に近い理屈によって定義されたものこそ、賢者の石である。
 
 
で、妄想の産物だから勝手に機能拡張されちゃって、「生命力を付加し、人造人間を作り出す」とか「人間に作用してあらゆる病気を治す」とか、もう何でもアリの存在へと成り上がった。
#ちなみにFFの「エリクサー」とは、賢者の石の別名「エリクシール」が由来
 
そして近代以降、物質の元素と原子が発見されると、賢者の石思想はトドメを刺される結果となる。
元々が妄想の産物なので反論の手段もなく、急速に錬金術の学問そのものも衰退させてしまう結果となった。
 
 
結局中世以降の錬金術は、良くも悪くも賢者の石の存在一つに振り回されたと言っていい。
ファンタジーとしては、夢のある物質なんだけどねぇ。賢者の石って・・・
 
 
 
余談:
近代科学を持ってすれば、「物質を金に変成する」という意味での錬金術は実現可能。
方法は、大量の水銀に大量のガンマ線を照射し原子核崩壊を起こさせて金へ変換させるというもの。
ただしこの手法だと、10万円分の金を作るのに5年の歳月と約100億の光熱費がかかってしまうのが致命的ではあるが。

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