マビノギ

菜摘

09/06/03 17:19

スパス１２をそこらへんに放り出し、私はすぐに別室（通称武器庫）へ飛び込んだ。

狭いキッチン・スペースでスパスみたいな長物はジャマだ。
ラックからシュア・ファイアーのフラッシュ・ライト付きのグロック１８とスペア・マガジンを手に取り再び”戦場”へと舞い戻った私はグロックのスライドを引いて初弾を薬室へ送り込み、シュア・ファイアーを点灯するとジリジリと周囲を窺いながらキッチンへと足を踏み込んだ・・・。
まず踏み台を移動させ、奴がいた冷蔵庫の上を覗き込んだ。　

　”うあ！　なんだこれは～！？”

そこには噛み破られたコーヒー用のミルク・ポーションの残骸が・・・。
あああ・・・最近減るのが早いと思ったら～！！！！　あいつか～！！！！！
踏み台の上から首を回し、にゃん公を睨み付けたが、にゃん公は知らん顔してあくびしてやがる・・・。
あとで絶対おしおきしてやる・・・。

気を取り直して冷蔵庫の上を調べてみたが、奴はいなかった。
下に降り、冷蔵庫の背面をグロックのライトで照らしながら索敵すると・・・。

”いた！”

背筋に一気に戦慄が走った！　考える前に指は引き金を引いていた。

”ダパパパパパッ！

命中したかどうか判らない！　奴が視界から消えた瞬間、すぐに床に這いつくばって冷蔵庫の下を覗き込んだ。

”げ！”

なんとすぐ目の前に奴の姿が！

”ダパパパパッ！！！ガチッ！”

フルオートにしていたグロックは次々にＢＢ弾を吐き出し、残弾０でスライド・ストップが掛かった。
あわてて起き上がり、空のマガジンを落としてスペア・マガジンをグロックに叩き込んだ！
スライド・ストップを操作してスライドを戻すのと同時に初弾を薬室へ送り込む。　その時！
冷蔵庫背面の壁にハネ返ったＢＢ弾と一緒に奴が姿を現したのだ！
目の前５０センチのところに奴が！　黒々とした威容は５センチにも満たない体躯の数十倍の恐怖と圧倒的な存在感でもって私を硬直させたのだ。

”ぐぐぐ・・・”

奴は立ち止まり、触覚を震わせている・・・よくみると足が一本ない！　スパスの一弾かグロックの一弾か・・・
とにかく奴にはダメージを与えていたのだ！
それが自信に繋がったのか、奴の呪縛から解けた私はグロックの銃口を奴に向けた！

すべてが終わったとき・・・そこにはかつて”奴”であったであろう残骸が散らばっていた・・・。

”フェイスハガー”をライフルで粉々に撃ち砕いたリプリーの心境に酔っていた私はしばし放心状態であった・・・。
勝ったのだ・・・私は勝利したのだ・・・・あの黒衣の悪魔に・・・。
さて、後処理をしなくちゃ・・・と立ち上がろうとした瞬間、”ひいいいっ！”声が出たかわからないが私は再び恐怖に金縛りになった！
亡霊かそれとも蘇ったのか、再び艶々と真っ黒い奴が姿を現したのだ！

”！”　声にならない悲鳴と共にグロックを向けたが、全弾撃ち尽くしたグロックはスライド・ストップが掛かったままで残弾０を示している。
しばしのにらみ合い・・・その時奴が動いた。
反対側の壁へ向かって走り出したのだ。

・・・その後の事は思い出したくもないが、記録として残しておく・・・。

無意識の行動だった・・・。

動きだした奴を追って四つん這いになり、そのまま左手の平で叩き潰したのだ・・・。

・・・あの叩き潰した瞬間の手の平の感触は筆舌に尽くせない程の恐怖でした・・・。

なぜ素手で叩き潰したんだろう・・・（泣）　本能的な行動だったのかなぁ？

その後の手洗いと消毒は狂気的でした・・・。

奴らの駆逐には新聞紙の棒かスリッパが一番だと痛感しました・・・。

勝ったはずなのに・・・完敗の気分の戦いでした・・・。

下のスレの意味がこれでわかったと思います・・・。