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菜摘 |
09/06/07 11:10 |
”う~ん、どちらにしようかなぁ・・・”
”ロナ~いい加減に決めなよォ・・・どうせ幼児体型にそんなドレス似合わないっ・・・OUCH!!!”
”うるさいわね~私だってもうオトナよっ! こんなドレスのひとつやふたつ、いくらでも着こなしてみせるわっ!”
”オトナの女がいたいけな羊を足蹴にするか~!? これだからおこちゃまは・・・ひぃ!”
燃えるような眼でパンをひと睨みして彼女は試着室へと消えていった・・・。
数分後・・・世の終わりのような暗い表情で出てきた彼女は、店の片隅で”イカダンス”をしている精気の乏しい青白い顔の店員に近づいた。
”ちょっと~!!!こんなおデブ体型用のぢゃなくてふつうサイズのドレスないの~!!??? 責任者呼びなさいよぉ!!!”
”あなた、このシモンに言いたいことでもあるの? サイズが合わない? それ標準的なエリン・サイズよ? どこが大きいのかしら? みせてごらんなさい・・・バストとヒップがブカブカね・・・ハイトも足りないし・・・あら?ウェストがキツイみたいね?”
淡々とサイズを測るシモン、背後では背を向けて必死に笑いをこらえるパン・・・。
折って畳んでひっくり返し・・・なすがまま散々にシモンに着せ替え人形扱いされ、
”も少し背が伸びたらまたきなさい”
のひとことで片付けられたロナ・・・。
がっくりと肩を落とし、トボトボとシモンの店を後にする彼女の後姿のなんと痛々しいことか・・・。
”ロナ~♪ まぁ、気を落とさないでさ~♪ 元気出しなよ~♪ OUCH!! な、なにすんのさ~!!せっかく慰めてあげてんのにィ!”
”慰めてるですって~? その”♪”はなによ! アンタ楽しんでるでしょおおおお!!! アンタなんか~!!!”
”ぎゃあああ!!!!ヒ、ヒツジ虐待反対ィィィ!!! な、なんだか今日はいつもより一撃が効くな~あ~!!!それは!?”
”ふふふ・・・よく気づいたわね、私だっていつまでも子供ぢゃないのよ”
勝ち誇ったように呟いた彼女の手に握られたそれは広場の露店で散々に値切って買った改造済みマンドリンであった。
”いくわよパン!”
”え? ど、どこへ?”
”グリニス食堂! 絶対大きくなってやるんだから! 見てなさいよ~シモンのバカっ! ナイスバディで見返してやるんだからっ!”
夕暮れのトゥガルドアイルの街道・・・。
”うっぷ・・・た、食べ過ぎたかしら・・・く、苦しい・・・”
よたよた歩きながらティルコネイルへの帰路につくロナとパン。
”ロナ~いくらなんでも食べすぎだよ~大丈夫かい?”
普段ケンカばかりしてるけど、なんだかんだいってロナが気になるパン・・・。
”今日はここらでキャンプするかい? そろそろ陽も暮れるし・・・”
”ふふふふふ・・・こういう事もあろうかといいもの買ってたんだ~♪”
”え?なになに? キャンプキットでも買ってたの?”
”ジャ~ン!!! これよっ♪”
”ん? なに?まだ食べるの? え?そ、それはもしかして・・・”魔法の雑炊”!? あ~もしかして!”
”ねぇえんんパン~・・・ロナのお願いっ! これ食べて♪”
精一杯鼻にかかった声で甘くささやくロナ・・・。
”い、嫌だ~っ!!! ソレ食べさせて大きくなったオイラの背中に乗って村まで帰ろうって魂胆だろ~!!!???”
脱兎のごとく駆け出すパン、それを追って雑炊とマンドリンを手に追うロナ・・・仲良きことはすばらしきか・・・な?
*ロナファンの方ごめんなさい・・・