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ようせいさん_mar |
09/06/06 06:53 |
ヘタレ学生のようせいさんは,今日もバイトで疲れきって,遅くなって家に帰ってきた。
すると,ようせいさんの10歳になる娘(くくさまぴぃ)がドアのところで待っていたのである。ようせいさんは驚いて言った。
「まだ起きていたのか。もう遅いから早く寝なさい」
「ようせいさん。寝る前に聞きたいことがあるんだけど」
「なんだ?」
「ようせいさんは,1時間にいくらお金をかせぐの?」
「お前には関係ないことだ」ヘタレ学生であるようせいさんはイライラして言った。
「なんだって,そんなこと聞くんだ?」
「どうしても知りたいだけなの。1時間にいくらなの?」くくさまぴぃは嘆願した。
「あまり給料は良くないさ・・・1000円くらいだな。ただし残業代はタダだ」
「わあ」くくさまぴぃは言った。「ねえ。ようせいさん。くくに500円貸してくれない?」
「なんだって!」疲れていたようせいさんは激昂した。
「お前が何不自由なく暮らせるためにオレは働いているんだ。
それが金が欲しいだなんて。だめだ!早く部屋に行って寝なさい!」
くくさまぴぃは,黙って自分の部屋に行った。
しばらくして,ようせいさんは後悔し始めた。
少し厳しく叱りすぎたかもしれない...。
たぶん,くくさまぴぃはどうしても買わなくちゃならないものがあったのだろう。
それに,今までくくさまぴぃはそんなに何かをねだるってことはしない方だった・・・
ようせいさんは,くくさまぴぃの部屋に行くと,そっとドアを開けた。
「もう,寝ちゃったかい?」ようせいさんは小さな声で言った。
「ううん。ようせいさん」くくさまぴぃの声がした。少し泣いているようだ。
「今日は長いこと働いていたし,ちょっとイライラしてたんだ・・・ほら。お前の500円だよ」
くくさまぴぃは,ベットから起きあがって,顔を輝かせた。「ありがとう。ようせいさん!」
そして,小さな手を枕の下に入れると,数枚の硬貨を取り出した。
ようせいさんはちょっとびっくりして言った。「おいおい。もういくらか持ってるじゃないか」
「だって足りなかったんだもん。でももう足りたよ」くくさまぴぃは答えた。
そして,渡した500円と数枚の硬貨をようせいさんに差しのべて...
「ようせいさん。くく,1000円持ってるの。これでようせいさんの1時間を買えるよね?」
そんなことをいわれてしまった