マビノギ

メルーメルー

08/12/02 11:23

「咀嚼音」で周囲にひかれる男前がいました。
でも、本人は他人に不快に思われてるとは、
ちっとも気がついていないんですよねぇ･･････。
もしや男らしさをアピールしてたとかないか。


もはや本人はなんとも思ってないようだが、ハタから見ると"どうにも考えさせられる習慣"を持っているヤツがいる。
習慣やクセ。直接的に他人に迷惑をかけるわけではないにせよ、こちらにしてみれば非日常のその姿をみせられることは、どうにも考えてしまうのである。

小学校の同級生のオカジくんは給食の牛乳を飲む時、ごく自然に、さも当たり前のように、口に含んだ牛乳を「噛む」のである。
ほっぺをふくらませ、カクコクと音を立てながら、液体を噛んでいるのである。毎日のことなので、こちらもその様子に慣れてはくるが、やはり時として思うことがあった。
"なにやってんだ･･････。この人･･････"
牛乳を噛んでいる男をけげんな表情で見つめる。その視線に気がつくとオカジくんは牛乳を噛みながら目で語るのである。
"んっ？ なに？"
なにじゃねーんだよ!! オマエはもう麻痺してるからなんともないのかもしれないが、こっちはやっぱり考えてしまうのだ。その意味があるとは思えない行為に。
牛乳もよく噛んだ方が消化にいい。親にそう教えられたそうだ。その教えも今となっては怪しい。よしんば噛むことで牛乳の温度を上げ、胃腸にやさしいということもあるのかもしれない。しかし、その微妙な健康法をきみが日々実践するために、こちらの健康がおかしくなりそうだ。
ところが、である。こともあろうか、オカジくんは、麦茶も噛むのである。こうなると、消化とかの話ではおさまらない。わけがわからない。
だがオカジくんの中では完全に分別がされてあるらしい。
「味のついてるものは噛む」
確かに、水は噛んでないようだ。かといって、炭酸は味つきにもかかわらず、噛んでない。もし炭酸も噛んでいたら、社会人になってからも問題は次々に起こるだろう。

「いやー!!　皆さん本日はご苦労さま!!　おつかれでした!!　皆さんの努力でこの商談もまとまりそうです。では皆さまの労をねぎらいまして、乾杯!!」
「乾杯!!」
「いやいや。仕事の後のビールは格別だなオカジくん!!」
「カクコク、カクコク･･････」
「き、きみ･･････？ なにかね、それは!! おい!! なにを噛んどるんだ!! 気に入らないことでもあるのかキサマ!!」

なにかの流れは止めてしまうだろう。とにかく、彼がなぜ液体を噛むのか？ そして、なにを噛んで、どれは噛まないのか？ 同じクラスの間、ボクはずっとそのことを考えさせられた。

また、こんな人もいた。知人の女性Ｆさんで、一緒に仕事に行った時である。ファミレスで昼食をした。Ｆさんはハンバーグランチのようなものを注文し、テーブルにライスとハンバーグが別々に置かれる。
向かい合わせに座ったボクは何を気にするでもなくＦさんの食べる姿が視界に入る。
Ｆさんがライスをひと口食べた。ライスを食べた。またライスを食べて、ライスを食べる。ライスに行って、またライス。でもってライス!!
ライスの皿からはみるみるとライスがなくなってゆくが、おかずのハンバーグにはまるで手がつけられていない。
「ハンバーグ･･････嫌いなんですか？」
「ううん。大好き」
そりゃそうだろう。この人が自分で注文しているのだから。
なのに、ライスで、またライス。ついにライスを全部食べてしまったのである。おかずなしで。
するとＦさんはハンバーグを自分の手前に持って来て、今度は黙々とおかずのみ食べまくるのである。
"なにが気に入らないんだ!? いやどういうアピールなんだ？ それ"

話を聞いてみると、子供の頃からずっと、おかずとご飯は別々に食べているそうだ。どちらかを全部食べてからでないと、次には行かない。
「一緒に食べると気持ち悪い」
そ、そーかなぁー!? 子供の頃どんなセパレートな経験をして、そうなったのだろう？ ボクはすぐに気になったことを質問してみた。
「あの･･････。カレーは･･････？」
「あぁ。カレーは、カレー」
なんだ、そのかもめはかもめみたいな答え!! とにかく気になる。

本人にとっては当たり前の習慣も、第三者にとっては考えずにはいられない状況がある。そして、この場合考え出した方が、負けである。