マビノギ

エルマイーム

08/11/28 21:51

1chダンバで、あの人と出会った。初めたばかりの私は、初心者クエストを
一緒にしてくれる人を募集していた。その時、手伝ってくれた人だった。
早速、フレンドリストに登録をお願いしてinするたびに二人で行動した。
何も知らなかった私に色々教えてくれた。鉱石の掘り方から効率のいい羊の
毛の刈り方、迷いエルフの探し方から、時にはあの世にも連れて行ってくれた。

　あの人はマス上が好きだった。自分のスキルではこの辺が丁度いいから、
と言ってひたすらマス上ばかり二人で繰り返し巡回した。他の人とパーティを
組むことなど考えず、いつも二人でいた。そうして何の迷いもなく、いつまでも
一緒にやっていくのだと思っていた。

　あの人がinすることが減ってきた。忙しいから、とだけ言っていたが、一人で
いることが増えてきた。私も累積が増え一人で出来ることが多くなってきたので
あまり気にしてなかったが、いつの間にか一人が当たり前になっていた。
　そして気がつけば、もう何ヶ月もソロプレイばかりになっていた。


　1chダンバで、キア下の手伝いを募集していた、そんな初心者と久しぶりに
パーティを組んだ。その初心者クンはすぐに、割と人数の多いギルドに参加し、
私も誘われてそのギルドに参加するようになった。ソロばかりだった私には
別世界だった。ペッカや神秘矢を巡り、未抽出やハーブを交換し、楽しい
毎日が過ぎていった。


　そして時が経ち、目標としていたスキルはほとんど１になった。もうソロでも
困ることはほとんど無い。大体、やりたいことはやってしまったように思う。
ギルドでも古い人は居なくなり、いつのまにか私が古参になっていた。
ギルドチャットで話してばかりいるようになった。久しぶりにダンジョンに
行くと、周りへのフォローがうまいと言って貰える腕前になった。昔は
ヘタクソで、あの人に迷惑ばかりかけていたのにな、と懐かしく思う。

　昨日、夢を見た。ずっと昔の夢。その夢の中では、まだまだ初心者で、
あの人と一緒にマス上を回っていた。私達二人だけで、そうやって一緒に
いつまでもダンジョンを回っていくのだと、なんの迷いもなく、そう思っていた。
　夢から覚めた後、今のスキルなら足を引っ張ることもないのにな、
なんて思った。強くなった自分を見せたい、そんな気持ちがあった。

　いつも通り、1chダンバで出していた店をたたみ、キャラクタ選択画面への
移動をクリックした直後のことだった。フレンドリストであの人のログインが
表示された。驚いてすぐメッセージを送りたかった。でも、接続は切れてしまった。

　今、inすれば、必ずあの人がいる。そう強く感じて、再び接続した。
1chダンバは相変わらずだった。でも、もうあの人はいなかった。

　あの頃の二人を忘れない。