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ホルスレイ |
08/02/04 20:08 |
*注意*
ここに書かれていることはいつもの如く作者の勝手なる空想です。
presented by Holsray
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「ったく、なんて事してくれたんだよ?!」
そう、目の前で怒っているのはさっきまで必死に羊を追っかけまわしていたマルコム。
それも、仕方ないかもしれない、だって……
「きゃ~~~モフモフがいっぱ~~い♪♪」
そう言ってさっきラサが彼の詰め込んでいた羊毛を、
袋から全部出してしまったんだ……
地面には一面雪かと思うほど白いものが広がっている。
「やっぱりこれがサイコ~~~♪ 」
彼女は真っ白な羊毛の海に飛び込んで、そのふわふわの感触を楽しんでいる。
「っていうかさぁ、なんでいっつも変な服ばっかり頼むんだよ。
どうせいつも小学校の制服しか着てない……」
彼がすべて言い終える前に、横から平手打ちが飛んできて彼のせりふをさえぎった。
「っつう・・・・」
彼の脇では、ディリスがこれ以上ないくらい怖い顔で彼を睨んでいる。
「……あんた、デリカシーなさすぎ」
(あれは……彼女の母親が、最後に彼女に送った思い出の品、いや形見なんだ。)
「洋服をわざわざノラじゃなくあんたに頼む理由すらわかってないなんて……」
そう、彼女なりに弟分の(っていっても半年しか違わないけど)マルコムの事を
応援しようと、わざわざ着ない服まで頼んであげてるのに……
(これじゃ、一生ノラに告白なんてできっこなさそうね……)
と、ディリスは呆れ顔で言うとラサの隣に寝転んだ。
「え? えっ? ディリス姉さん……?? 」
彼女にとっては『モフベット+ラサ=隣でゴロゴロ』は当たり前の事だったが、
そんな事知る由もない彼には少し奇怪な行動に見えたかもしれない。
「……いいなぁ~……」
2人の真似をして、ポフンとノラまで寝転んだ。
「……みんなして……」
自分が必死で集めた羊毛をオモチャみたいに……と続けるはずだった彼のせりふは、今度は灰色オオカミに邪魔されてしまったらしい。
「うわぁ~~何でこっちに来るんだよ~~」
狼から必死に逃げ惑う彼を見て、ノラは「狼の前で戦闘態勢は取っちゃダメって常識なのに……」と呟く。
(……誰に向かって戦闘態勢取ったんだか……)と、ディリスが横をみると、
取られたはずの本人はのんきに「今日は満月~~~♪♪」と手を空に翳している。
こんな平和が続けばいい……
そう、ディリスは思った。
(こんな平和を守るために、守れる力を、どうか私にも……)
ディリスは空に両手を伸ばし、誰にではなく、神にでもなく、
今自分達を照らしているイウェカに、そう願った。
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あぁ、終わり方が無理矢理感満載ですみません><
で、ちょっとアリサちゃんが書きたかったので「おまけ」をば・・・・・↓↓↓
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「あ~~~~、お姉ちゃん……」
帰りの遅い姉を心配していたのだろう、あのまま寝てしまったラサをマルコムが背負い、
ディリスとノラが送ってきたのを見てアリサは慌てて玄関の戸を開けた。
「ごめんなさい……姉がご迷惑を……」
こんなにかわいいアリサに頭を下げられては、さっきまでむくれていたマルコムも
苦笑しながら「大丈夫、いつもの事だから」と言うしかなかった。
そう、彼女は『夜の特別任務』がない時はお酒を飲んでしまい自力で帰れず、
結局マルコムがおぶって帰るのはもう恒例行事みたいなものだった。
「すみません、いっつも……そうだ、薬草茶ですがいれてあるので
みなさん飲んでいってください」
そういうと、少女はパタパタと台所の方に駆けて行く。
「じゃぁ、おじゃまします」
ラサを長いすに横たえると、三人はキッチンの椅子に腰掛けて
アリサ特製のタンポポ茶をご馳走になった。
「……ラサにもアリサちゃんくらいのしっかりさが少しでもあったらねぇ……」
としみじみ零すマルコムに
「はい……でも、姉は私のイキガイみたいなものなので……
あんまりしっかりされたら困っちゃうかもっ」
そう微笑む少女に、負けを認めたティルコ一のヘタレ男、マルコムだったのでした……
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これで……とりあえず完結。です、多分。
長々と書いてしまいました事を m(平謝)m 。