自由掲示板

「イウェカに願いを」⑦
ホルスレイ 08/02/04 20:01

*注意*
 

ここに書かれていることはいつもの如く作者の勝手なる空想です。
 
 
presented by Holsray

 
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それから数週間。

 
毎晩のように彼女と羊刈りをした。

 
 
最後はモフベットの上に寝転んで色々話した。

そう、彼女自身の事なんかも……
 
 
 
「学校?順調だよ~っていうか、たるいくらい。
 
昼間にやるからマナがちょっときついぐらいで・・・・」
 
 
 
内容はもう彼女が習得済みの事なんで面白くなくって、
 
たまに先生の本棚から本をくすねて勝手に勉強しているとか。

 
彼女の力を妬んで意地悪するグループがいたが、この間サンダーをかけたら
 
それ以降なんにも言ってこなくなったが、先生に大目玉をくらった、とか。
 
 
 
あまりにも彼女らしい話なので、隣で聞いていていつもクスクス笑っていた気がする。

 
そう、彼女が話さなかった、一番重要なことにはまだ気づいていなくって……
 
 
 
 
 
 
「先生、こいつ、課題の羊毛調達、人に手伝わせてます」

 
そう、先に事件(?)が起こったのは私の方だった。
 
毎回すんなり羊毛を調達する自分を不審に思ったらしく、
 
先輩方は私の後を付けてきてこっそり覗いていたらしい。
 
 
 
でも、私も言われっぱなしでおとなしく引き下がるつもりはなかったので
 
「それは、先輩方が自分達の分を全部私に押し付けてるせいだと思いますが?」
 
と言い返してやった。
 

まさか、の反撃に彼らの顔色が一瞬で青く変わった。

そして、次の瞬間には……

 
 
先生の大きな手が、彼らの頬に「バシンッ」と小気味よい音を立てて炸裂した。

 
 
「お前達のようなやつらに、誰も助けて欲しくはなかろう。
 
いや、お前達に人を助けるなどという職業は無理だと判断する。
 
すぐに、ここから出て行きなさい。」

 
 
普段は温厚で優しい先生が、今は阿修羅のような形相で彼らを睨みつけていた。

彼らは荷物をまとめると、すごすごと出て行く。

 
 
「もっと早くに話していてくれれば……」

 
 
「そんなに私は相談しにくい男だろうか……」と、先生はちょっとごつい顔を悲しそうにゆがめた。

 
 
「いえ、ただ友達が手伝ってくれて……全然問題じゃなかったんで」
 
 
 
それに意外と毛刈りは面白くって、と言うと、
 
「実は自分も、毛刈りは好きな作業なんだよ。最近は忙しくって出来ないがな……」
 
と笑い、いつもの穏やかな顔に戻った。
 
 
 
その晩、先生は「昼間に」とおっしゃったのだが「きっと友人が来てしまうと思うので」
 
と断り、課題分と先生の包帯の分の袋を3っつ持っていつもの畑にやってきた。

 
 
まだラサは来ていなかったので、一人で毛刈りを始める。
 
 
しばらくすると後ろから足音が聞こえ、振り向くとそこには……
 
今日、退学を言い渡されたはずの先輩方が手にナイフを持って立っていた。
 
 
 
「お前のようなひよっこに、どうこうされて黙っているような俺達だと思ったのか?
 
 はぁ? 」

 
 
一人が私の胸元を引っ張り上げて、凄みを聞かせた声でうなってみせる。
 
 
 
(先生の言うとおり。誰もこんなヤツに治療されたくなんてないと思う……)

 
 
本来ならここは怖がってみせて、うそでも謝って逃げる。
 
というのが多分正解なんだろう……という事はわかっていたが、
 
私にそんな安易な「妥協策」というものは存在していなかった。
 
 
 
「あんたみたいに偉そうにする以外、何の取り得もない筋肉馬鹿の男。
 
私興味ないし」
 
 
冷ややかな目でヤツを見返すと、彼はその手に持っていた採取用ナイフを
 
私の頬にピタリと当てて「さぁ、どこから切り刻んでやろうか~? 」と叫んだ、
 
その直後。
 
 
 
 
『ガガ~~~ン、ビリビリビリ……』
 
 
 
 
空気を引き裂くような音と共に、白い稲妻が彼を突き刺した。
 

 
 
「……なに、こいつ……」

 
 
白目を剥いて地面に転がった哀れな男を、まるで石ころかなんかの様に彼女は蹴飛ばした。

ナイフを持ったまま、呆然とその場に立ち尽くす他の先輩達に向かい
 
「あんた達もこうなりたいの?」とラサがサンダーを一つ詠唱してみせた。

 
フルフルと言葉もなく彼らは首を横に振る。

 
 
「じゃぁ、この邪魔なの持ってこの街から出てってくれる?」

 
 
そう言われて先輩方はコクコクと頷くと、地面に転がった彼を担いで大急ぎでこの場を去っていった……

 
 
「あれが……ディリーの言ってたマッチョ馬鹿? 」
 
 
「そう。今日、今までの事がばれて弟子をクビになった先輩達」
 
 
「てことは……もうモフベットが要らないってこと?? 」

 
「今日は……3袋分でいいみたい」
 
 
「え~~~~」

 
 
ガクリと肩を落とし、「今日は枕だけかぁ……」
 
と、毛刈りを始めた彼女のコートのポケットから
 
私が見たこともない青い草が零れ落ち、刈られた毛の中に混じっていたなんて
 
気が付きもしなかったんだ……
 
 

 
 
 
次の日、朝早くに先生と包帯を作っていてその青い草に気が付いた。

先生は一瞬顔を曇らせると、「その草をどこで手に入れたのですか?」と私に尋ねた。

 
「??さぁ・・・羊の毛を詰めるときに混じったのでは?」
 
 
そこら辺に生えている、普通の草だと思っていたのでそう答えると、
 
 
「それは、ダンジョンの中にしか生えない特殊な草です・・・・」

 
語尾を濁したまま、先生はその草をじっと見つめた。

 
この草がマナポーションを作る材料で、一般には販売してはいけない劇薬だって事を知ったのは、
 
 
それから半年後、ラサの母親が病気で倒れ彼女自身もPOT中毒で一時休学になってからだったんだ・・・・・・
 
 
 
 
 

彼女が故郷に帰ってから2ヵ月後。

 
彼女の母親の訃報が私の所にも届いた。

 
 
この時ばかりは、気丈な彼女も目を真っ赤にして
 
今にもこぼれそうな嗚咽を必死で堪えているようだった。
 
彼女の制服のスカートには、しがみついて泣いているアリサの姿が。
 
(妹の前では、泣かないように我慢しているのね……)

 
葬儀の間はぐっと涙さえ堪えていた彼女だったが、夜「少し風に当たってくる」と家を出た彼女は、一人母の墓標を訪れ声もなく泣いていた。
 
 
まだ夜風は寒いだろうと、コートを持って彼女を追いかけてきた私だったが、
 
その姿に声さえも掛けることが出来なかった。

 
 
私はあんなに助けてもらったのに、
 
私が彼女の為に出来る事が何もないなんて……

 
 
 
それから約2年後。

 
無事ヒーラーの修行を終えた私は、懐かしい故郷の地を踏みしめていた。

 
 
「ディリ~~~ス♪♪ひっさしぶり~~~~♪」

 
 
久々に再会した彼女は、どう見てもPOT中毒によるハイテンションに、
 
あの時のまま……喪服のような黒い制服を着ていた。

 
 
(戻ってきてよかった……)

 
 
あの時、彼女が私を助けてくれたように、今度は私が彼女の力になってあげたい。

そう思ってここに戻ってきたのは間違いじゃなかったんだ、そう確信した。

 
あれから数年たった今。
 
まだ彼女の心は黒い制服のまま、殻に閉ざされている。

私に出来る事なんて、彼女の隣で愚痴を聞いてあげるくらいだけど……

いつか、彼女が中毒のせいではなく心から、その喪服を脱いで笑える日まで。

隣(ここ)でずっと見守っていよう……
 
 
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無理矢理1話にまとめたので、ちょっと読みにくくなってしまいましたorz
 
まぁ、なんでディリスがラサの挙動に寛大?なのかがなんとなく解ればいい程度の過去話です。

 
さらっと流してください**
 
 

ルミナレイ ビバ!勧善懲悪!( ´∇`)ノ 私には、先生と先輩、どちらがマヌスだか分かりかねます(深読みしすぎ 私としては、効果音の扱いには頭を痛めています。 今回みたいに、『』でくくって書くか、文章だけで表現するか・・・。 前者は、分を幼稚に見せてしまう可能性があり 後者では、うまく伝わらない可能性が出る。 うむむ。。。 08/02/04 20:16
ホルスレイ うぅむ・・・読まれていましたか・・・・ 先生=Oヌスさん。で書いておりました。 この後彼はダンバに店を構えた事にしてもらおうかと・・・ 自分は効果音どころか書く事自体がいつも悩みどころです。 まぁ、書いちゃったもの勝ち。というかもう殆どカキステですが・・・・ (笑) 08/02/04 20:37
フォウカス_mor うへへ・・・見てます実tw増す!! 08/02/05 00:40
ホルスレイ [壁] ・)・・・・ いつの間に・・・ 08/02/05 06:05
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