自由掲示板

マビ小説風駄文-迷走の旅路-
ルミナレイ 08/02/03 21:16

ホルスレイ先生の大作が今日はお休みということで
 
代稿、と言えるほど出来はよくないですが、短編をひとつ。
 
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「ごめんなさい。今、お暇ですか?」
 

そう言って話しかけてきたのは、まだあどけなさの残る少女だった。
 
体の二周りほど大きなローブから覗くブルーの瞳。手に握られたワンドからは、彼
 
女が魔法士であることが容易にわかった。
 
俺はというと、街道を歩いていて見つけた陽だまりに腰を下ろし、優雅に昼食と洒落込んでいたところだ。
 
 
「もしお暇でしたら、ダンジョンにご一緒しませんか? お兄さん、見たところ剣士さんみたいですし」
 
 
初心者なのだろうかと思ったが、握られたライトニングワンドには、かなりの年季が入っているようだ。
 
今食事中だ、他を当たってくれ、と言うと、少女はおもむろに俺の横に腰を下ろした。
 

「……聞こえなかったのか、他を当たれ、と言ったんだが」
 

「食べ終わるまで待ってます。そしたら行きましょう」
 

あまりの無遠慮さに、怒りを通り越して呆れてしまい、俺は気にせず食事をすることにした。
 
すると少女は、背負っていた鞄を膝に置き、中身をあさり出した。
 
俺のほうから見えたのは、尋常じゃないくらいの量のマナポーションだった。

俺が訊ねると、彼女は隠していたものを見られたかのように、バツの悪そうな顔をする。
 

「私、病気持ちなんです」
 

聞くところによると、彼女はマナ生成をつかさどる器官に重度の障害があり
 
昼間は絶えずマナを切らせないようにポーションを飲み続け
 
夜は絶えずマナを放出していなければ、死に至ってしまうという。
 
そんな病を持って、なぜ魔法士などやっているのかと聞くと
 
 
「両親の、仇を探しているんです」
 
 
なるほど、もっともらしい理由があるようだ。
 

「お兄さんは、そんな私でも、一緒にダンジョンに行ってくれますか……?」
 

突然、殊勝な口調でそう言われ、柄にもなくうろたえてしまった。
 
何だ、さっきまでとまるで態度が違うぞ、と平静を装い言うと
 
 
「今まで、いろんな剣士さんに声を掛けたけど、みんな、こんな爆弾みたいなヤツと組めるか! って……」
 
 
そこまで聞いて、俺は立て掛けておいた剣を腰に差し、立ち上がった。

少女は、一瞬驚き、すぐに落胆の表情を浮かべる。
 

「どこのダンジョンだ。 報酬は五分だぞ」
 
 
少女は、豆鉄砲でも食らったかのような顔をしていたが、すぐに
 

「はいっ! ラビダンジョンです! スケルトンが邪魔で、どうしても最深部まで行けないんです」
 

モニカと名乗ったその少女と共に、ラビダンジョンのロビーに立つ。
 

「お兄さんのお名前は何ですか?」
 
 
俺は、クリスだ、と短く答え、祭壇に通行証を落とした。

ダンジョンに入るとモニカは、スケルトンはお任せしていいですか? 私はサポートに回ります、と俺の後ろに回った。

実際、ラビダンジョン程度のスケルトンであれば、俺一人でも十分だろう。

果たして、さしたる問題もなく、2層、3層と進んでいく。
途中、彼女がハーブを抜きたい、と駄々をこね、なかなか抜けずに四苦八苦したことを除いては。
 
ボス部屋の前までたどり着いた時、今まで俺の後ろについていたモニカが急に前に出てきた。
 
俺がどうしたのか、と尋ねようとすると
 
 
「ボス部屋のカギを、貸してもらえますか。 このまま開けても、私の求めている敵は出てこないので……」
 
 
何をするのか、よく分からなかったが、彼女がせがむので、渡してやった。
 
するとモニカは、濃い紅の色をしたそのカギに、自分のワンドをかざし、何か詠唱し始めた。
 
そして、それが終わると、別段変わったようには見えないそのカギを、鍵穴に挿し
 
 
「ボスは、私一人に任せて下さい」
 
 
そう言い放ち、彼女はカギを開けた。

中にいたのは、女。 いや、人の姿をした魔族、サキュバスだ。
 
わざわざカギに何か細工をしていたのは、こいつに会うためだったのだろう。
 
それまで俺が、幾度と無く倒してきたそいつは、モニカをみると、悲鳴にも似たうめき声を上げた。
 
 
「な、何故、貴方がここに……」
 
 
サキュバスがそう言い放った先には、すでに誰もいなかった。
 
モニカは、サキュバスの背後に回っていた。俺にすら、感知出来ない速度で。
 
サキュバスは、振り向く暇も与えられず、仰向けに倒れこんだ。彼女が足払いをしたのだ。
 
モニカは、倒れこんだサキュバスの上に馬乗りになり、その胸に、ワンドを突き刺した。

次の瞬間、鮮血が噴出し、耳を覆わんばかりのサキュバスの絶叫が、辺りに響いた。
 
サキュバスは、最後の力を振り絞ったのか、暴れ出したが、胸に深々と刺さったワンドを抜き去ることは出来なかった。
 
やがて、サキュバスが息絶えると、モニカは立ち上がり、真っ赤な返り血に染まった顔で、呆然としていた俺を見据える。
 
 
「ごめんなさい。両親の仇うち。あれ、嘘なんです」
 
 
そういうと、彼女は、すでに絶命し、小刻みに痙攣しているサキュバスの胸から、心臓を剥ぎ取った。
 

「すべては、私をこんな体にした魔族への復讐。そして、この体を癒す道をさがすことなんです」
 
 
彼女は、剥ぎ取った心臓を上にかざし、握りつぶした。
 
すると、大量の鮮血があふれ出し、彼女に降り注ぐ。
 
そして、再び開かれた目は、濃い、真紅の瞳に彩られていた。
 

「まさか、サキュバスに……?」
 
 
渇いた喉から、かろうじて声を絞り出した。

モニカはゆっくりと、俺に近づいてくる。
 
 
「今まで、いろいろと研究してきました。そして、これが一番可能性の高い方法だったんですよ」
 
 
俺はまるで、金縛りにでもあったかのように、指先一つ動かせなかった。
 
彼女が俺の前に立ち、顔を見上げる。
 
 
「貴方には、本当に感謝していますよ、クリスさん。でも、貴方をここから出すわけにはいかないんです。わかりますよね?」
 

彼女は、いとおしい人を見るかのような艶美な目で、微笑んだ。
 
俺の意識は、そこで途切れた……。
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魔族から人間へ変わった人がいるのなら、その逆もありかなーと思い、書いたものです。
 
あ、なんのこちゃって方は、スルーしちゃって下さい(゚ω゚;)
 

カリオン_mor 人からサキュバスへの転生。その方法がこんな形で行われるなんて! 文章もすっきりまとまっていて、良いと思いました。 ただ、外にいる状態からダンジョンへと場面が転換したなら、行間をもう少し空けるなどして、時間経過を表したほうが良いのでは?と思いました。 08/02/04 10:12
ルミナレイ 行間!! それはうっかりしていましたΣ(゚◇゚;) 二人でラビに行くと、サキュ単体ボスにはならないので、どうしようかと悩んだ挙句、チート紛いの工作になったのは秘密。。。 08/02/04 11:44
ドラゴン竜 カリオンさんと同じ意見です 08/02/04 13:05
ホルスレイ [壁] ・)コソット ・・・サッキュンの服がどうしても着たかった・・・とか・・・? 08/02/04 20:12
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まるでサキュバスのバーゲンセールだな・・・

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