マビノギ

ホルスレイ

08/02/02 19:09

＊注意＊

 
ここに書かれていることはいつもの如く作者の勝手なる空想です。
 
 
presented　by　Holsray
 
 
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こんな風に・・・穏やかな気分で夜空を見上げるのは・・・
 
いつ以来かしら・・・・
 
 
 
 
『ほら、こうしてると嫌な事なんてぜ～～～んぶ飛んで行っちゃうでしょ？』

 
 
 
そう言って、こうして夜空を見上げる事を教えてくれたのは・・・

そう、今も隣に並んで空を見上げている友人だった・・・・・・
 
 

 
あれは、まだ私が１５歳で、マハにヒーラーの修行に行きたての頃だ。
 
 
３年前にラサがこの街の魔法学校に特待生で入った事は知っていたが、
 
まだ、修行がはじまったばかりで彼女の事を思い出す暇もないくらいに多忙だった。

 
そう、一番下はこき使われる運命なのだ。

 
それは、ある程度覚悟していたし、なんとか頑張れたのだが・・・
 
ある日、包帯を製作する修行で先生が私をいたく気に入ってくれ、
 
先生が実際に治療に使う分まで頼まれた事から、あいつらの陰湿なイジメが始まったんだ。
 
 
 
『この樽の水。倉庫の裏まで運んでおけよ？
 
あぁ、女の細腕じゃぁむりだったかなぁ？
 
ヒーラーは体力勝負の仕事なのになぁ～？』

 
とか、こんなのはしょっちゅうで、何かにつけて私がヒーラーに向いてないって話にこじつけたんだ。

 
それでも、意外と頑張り屋な私はそれを逆にばねにして頑張っていたのだが・・・・

 
 
『明日、包帯の修行で使う分の羊毛。これいっぱいに詰めておけよ？』

 
もう、寝ようと夜着に着替えた私の前に羊毛入れ袋を１０個も積み上げられた時だけは、

正直もうだめか・・・と思った。

 
 
それでも、完敗だけはいやだったので、夜着のまま、郊外の羊さんのいる畑へと向かい、

せめて半分だけでも・・・朝までに出来る分だけでも・・・
 
そう思って必死に毛狩りをしていた。
 
 
 
「こんな夜遅くになにしてるの～？？危ないよ？？」
 
 
そう、後ろから声を掛けられて振り向くと・・・・そこには懐かしい友の顔があったんだ。

 
「あれ？？ディリー？？」

 
彼女も突然の再会に驚いたようだったが、すぐに笑顔で私のところにかけてきて
 
「どうしたの～？？で、なんでこんな時間に？？」と私を質問攻めにした。
 
 
私は最近修行でこの街に来た事と、いじめる先輩がいる事をかいつまんで説明した。

 
「・・・女の子にこんな夜中にこんな事させるなんて・・・・私がやっつけてやろうか？」

 
眉間にしわを寄せながら、彼女はサンダーを詠唱した。

 
「い・・・いいよそこまでは・・・」

 
でも、なんとかやつらの鼻を明かしたいから、この袋いっぱいに羊毛を詰めたいんだけどね。と苦笑いしながら言うと、彼女は当然のように毛狩りを手伝ってくれたんだ。

 
彼女の毛狩りは・・・彼女の性格そのままに豪快の一言に尽きた。

とにかく高速で羊から毛皮をはぎはぎはぎ・・・・とにかく剥ぎまくる。

彼女の傍らには、すぐに羊毛の小さな山が出来上がっていた。
 
 
 
「とにかく、刈れるだけ刈っちゃって。その後ゆっくり詰めればいいじゃない？？」

 
 
「・・・それもそうね・・・」

 
確かに彼女の言う事にも一理あったので、私も彼女の真似をして毛狩りだけに集中した。

 
そして・・・・恐るべき事に、たった１時間ぐらいで、羊毛の大きな山を作り上げる事が出来たんだ・・・・

 
 
「やったねっ♪これで２００はかるいんじゃない？？」

 
 
彼女の言うとおり、これは袋に詰める分よりも多いかもしれない・・・
 
そう思って羊毛の山を見上げていると、突然彼女がその山にダイブしたんだ。

 
 
「キャァ～～～♪超～～～モフモフ♪♪」
 
 
そんな彼女をちょっと呆れ顔で見ていると

「早く～～。ディリーもやってみなよ」と、腕を引っ張られて、私も羊毛の山につっぷしてしまった。

 
 
「・・・・・気持ちいい・・・」

 
 
そう、これは初めての感覚だった。
 
例えるならば・・・まるで雲の上でゴロゴロしているような・・・

 
 
「ほら、こうしてると嫌な事なんてぜ～～～んぶ飛んで行っちゃうでしょ？」
 
 
丸く大きなイウェカに手を伸ばしながら、ラサはゆっくりと目を閉じた。

 
 
（・・・彼女も学校で嫌な事があったんだろうか・・・・）
 
 
こんな夜中に一人で出歩かなくてはならない理由があったんじゃ・・・・
 
いまさらながらに、自分の大変さしか考えてなかった、短慮な自分に気が付いた。

 
（彼女の方が１つ年下だっていうのに・・・・）

 
彼女は自分の愚痴ひとつも零さず、困っている自分の為に一緒に毛狩りまで手伝ってくれて・・・・

 
 
「ありがとう・・・。ごめんね、こんな遅くまで・・・」

 
 
私に出来たのは、そう、彼女に礼を言うくらいしかなくて・・・

私は改めて、彼女が友人でよかった、とそう思ったんだった・・・・

 
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まぁ、やっとタイトルの内容に・・・近づいてきたかなぁ～？って感じです。
 
で、物語は・・・・後半へ続く？？