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Hoolin |
08/02/01 22:24 |
真っ白なウィンドウに申し訳ない程度に飾った空色のメニューフレーム。
たったそれだけのシンプルなウィンドウに俺は魅入られていた。
あー、魅入られていたってのは言い過ぎかもな。現につまらなそうに斜め読みしているだけだし。
訂正。シンプルなウィンドウを俺はつまらなそうに眺めていた。
なんで俺がそんなわけわからんモン眺めているのか、というと、当たり前だがれっきとした理由がある。
目ざとい読者諸君にはさっき言った『斜め読み』だけで気付くかもしれないが。そう、俺が見ているのはウィンドウそのものではなく、中身の文字の羅列。様々な信号が織り成すコミュニケーション。クライアントの憩いの場。NEET含むネット住民の井戸端。要約すると、掲示板というヤツだ。
Vipでもなく、2ちゃんねらーでもなく、ましてやハッカーなんていうものでもない俺が、なかなかどうして珍しくこんなモノを覗いている理由はひとえにアだ。…………えっと。
携帯小説……というよりも、インスタントノベル(略してイノベ? いや、ここは掲示板らしく伊野部? 伊部でもいいかも知れない)が多数掲載されているからである。
一度筆を持ったことがある俺としては、どれもひっじょーっに! 興味がそそられるわけだ。
本来、無銘の作者が描いた作品は当たり外れが大きく。そして、その大半がめっさつまらなかったり、成長してから本人がアイタタタタタタとイタイ思いをするものだったりするので、(自分もそういう時期あったし)正直読むのもかわいそうで目を逸らしたりするわけだが、こういう場所に書かれた小話は別である。
どんだけイタイ内容でも、どんだけつまらなくても、使う時間は僅か数分程度だからだ。
故に俺は読む! 読みますとも!
ついでにコメントも見て、『あーそういう考えもあるのかー』と感心したり、『またまたご冗談を』とか猫AAよろしく、エエ顔でツッコミを入れたりする。…………そこ、寂しいヤツとか思うの禁止。
ウサギとツノで兎も角、ともかくだ。
今俺は仕事で疲れて帰ってきて、さぁ風呂にでも入ろうかなとか思っている矢先にマビの掲示板でこんなもん見つけちまったから、現在進行形でだらだらと眺め、更にこんな文章をノリで描いていたりするわけだ。
……うん。バカかとか、アホカとか罵ってくれて構わない。むしろ大いに罵ってくれ、スルーほど寂しいものはないからな。そんな尊大な態度じゃ罵れネーヨとかいうのはカンベンしてくれ、疲労困憊の今の俺にはこれが精一杯だ。
「ていうか、お前こいつらと同じ、小話描きたかったんじゃないか?」
「……はい。鋭く、的確なツッコミありがとう。我が半身」
「半身とかキモイこと言うな」
この無礼で厚顔無恥で見るからに馬鹿そうで、ギャルゲーで表すなら間違いなく主人公クラスのツンデレを持っていそーな登場人物。実は見ているキミタチがもう知ってたりするキャラクターだ。
ヒントが欲しいかい?
「なに画面に向かってカチカチ打ってんだよ。さっさとマビ起動させて暴れさせろよ。こっから先は俺の時間だろーが!」
「まぁ、おちつけ。物事には際限なく手順というものが付いて回るだろう?」
「オマエがやってんのはただの暇潰しだろーが!」
「アホか、俺の心情的に言ったら暇なんてないわ! 明日も仕事だし! 小説の続き描きたいし! ゲームしたいし!」
「…………」
「どうした?」
「いや、オマエ……ちゃんと仕事のこと頭に入れてたんだなってさ。あ、涙が……」
「誰がいい話にもっていけといった」
「いや、だってな。学生時代があまりにも適当すぎで」
「ああ もうええわ! 正解は晩飯食って風呂上がってからにする! 以上」
「ちょっ! マテ! 正解ってなんだよ! それにいきなり風呂とか脈絡ねーよ! どんだけ投げっぱなしなんだよ!」
そんなわけで機嫌を損ねた俺はモニターの前から離れ……てないし、キーボードさっさと手放せ、キリがないから。
まぁ、とりあえず風呂から上がった時に俺が忘れてなければ続き書こう。
因みに忘れてなければという指定はデフォで付くので諦めろ。そう、それが俺のポリシー(適当)だから……。
◇
アバター
というわけで戻ってきた。
「…………」
戻ってきたんだが……、出迎えたのはものすごく不機嫌そうなツンデレヒーロー。
「どうした? ツンデレヒーロー」
「妙なタイトル作んなボケ」
タイトル:ツンデレヒーロー。
昨今の主人公には必須のタイトル。幼馴染にはつっけんどんにして、実はラヴ。STR+20 Will+50 Luck-15 特定発言において状態異常『赤面』が追加。
「ホントに要望出そうとすんなよ!」
「なんだ、目覚めた の方がよかったか?」
タイトル:目覚めた。
敵味方問わず、殴られることに快感を覚えてしまったアナタのためのタイトル。STR-100 防御+100 保護+100 常に状態異常『攻撃不可』。攻撃を受けた際、喘ぎモーションが追加される。(原案:我が愛しのマスター、マーブル様)
「そのタイトル嫌過ぎるだろ……てか、アナタだけ感さりげに煽ってんじゃねぇ!」
「うぅ~ん、いいツッコミだ。じゃあ一枚脱いでみようか」
「脱ぐかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「ウホッ! いい……」
「それ以上言ったらマビ解約すっぞ」
「すみません調子こいてましたゴメンナサイ」
くそう、アカウント楯に取りやがって、卑怯なヤツめ。
あれ? でもなんでコイツ怒ってるんだ?
「非常に不機嫌そうなところすまない」
「あぁ?」
うおっ、マジな目してるし……。ご機嫌とっとかないとやばいかなこりゃ。
しかしまぁ機嫌を直すにも、まずは何で機嫌が悪いのかを聞かねばならんわけで、俺は仕方なくヤツから半径20mぐらい離れた安全地帯から大声で話しかけることにした。
「何でそんなに機嫌悪いのかーーーーーーーーーっ!!」
「エリンにInしたにも関わらずっ! てめーが放置しまくってたから! だろーーーーーがああああああああああああああああ!!」
成る程、よく分かった。……なら。
「休日にぃーディ○ニーーランドォォ! 連れてってやるカラァァァァァッ!!」
「もうどこにぃーーーつっこんでいいかーー! わっかんねぇぇぇぇよぉぉぉぉぉぉお!!」
「よし、仲直りだ」
安全を確認し、俺はヤツに近付……イタッ! イタタ!
「マジ痛! アイタタタタタッ! お前のSTR(210)でアイアンクローはマズイって! ちょっ、ホント変な音鳴ってるし! 死ぬ、死ぬから!」
「話しかけられても返答できない俺の苦しみを少しでも味わえ……」
「そんなリアルタイムなネタもってこられても困るから! ていうか、心にもないこと言うな戦闘狂! 会社の人見てるからー!!」
なんででしょ、俺が許しを請う度にキリキリと加える力が加わって行くんですが…………あ、ヤバイ、死ぬ。
「いや、死ぬから……死ぬから……」
「じゃあ、今からキア上行くのにも文句ないよな?」
「はい。ドウゾご自由にお暴れなさってください」
「丁寧すぎんぞソレ」
そんな悪態をつきながらもヤツは俺の頭から手を離す。
「いっつぅぅぅー……」
なんか変な液体でてるけどそこは気にしない。気付いたら死にそうだから。
それにしても我侭なヤツめ、要望を聞いてやったのに礼の一つもないとは。
俺は自分の頭にヤツが大切にしていた 祝福の 盗賊 バンダナ でコッソリ作った包帯を頭に巻いて、自分の真っ黒なライフゲージを真っ黒まで回復する。
「ところでよ」
「(ぎくっ)……うん?」
「さっき風呂入る前に正解がどうとか言ってなかったか?」
「(ホッ……)あーアレか」
確かコイツの正体について問題出してたっけ、読者に。頭割られてすっかり忘れてたけど。
「アレがどうかしたか?」
「アレってな、オマエ……俺さっぱりわかんねーんだが」
「簡潔に言うとだな。お前の正体を元に謎かけ出してたんだ」
「またそんな無茶振りを…………で、答え言ったのか?」
「正解は言ってないけど、ヒントはもう言ったぞ?」
「はっ?」
「よく見てみろよ。追加した文面◇の開始直後」
(^▽^)最初を見てね(^▽^)
「…………これがヒントかよ! 分かりずれー! うすた京介仕込みの変な挨拶かと思ったぞコレ! 今までの会話で想像付くだろコレじゃ! ていうか、ほぼ正解じゃねーか!」
いや、ホント予想通りの反応ありがとう。嬉しすぎるよ。
とりあえず、そろそろホントにダンジョンいかねば寝る時間もなくなる。まぁ、この辺で上手くシメとこうと俺はヤツの前に出る。
「人はいつも大切なモノを見失うものさ」
「ただのシャレにカッコイイ理由つけんな」
「作家はみんな嘘吐きなのさ。本の中で盛大にウソをつき、世界をいつも驚かせる」
「分かったこと言うな」
「人というのは非効率の塊だ。しかし、それは恥じることではない。むしろ無駄をすることに意味があるんだ」
「わけわからん哲学並べんな。……もういいだろ、さっさと行くぞ」
ぐいっと襟元を持ち上げられる感覚。猫か俺は。
つーかマテ、もしかしてこのままフェードアウトか? 時代の流れか? 世界の果てまで一直線か?
ソレはまずい。まだいいたいことあんのに! ああもう、膝に力を入れていらっしゃる!
「あっ! ちょっ! 最後に一言だk