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木刀狼 |
07/09/11 00:56 |
無駄に長いと批判の声の多い中。
やってしまいました。
いや長い長い。ｇｄｇｄさ加減はﾃﾞﾌｫﾙﾄです。
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「あっつっ…！」
わたしは襲いかかる熱風にひるんだ。
その後、うってかわって小麦の優しい香りが鼻腔を満たす。
「おや、なかなかいい感じに焼けてるじゃないか。」
グリニスおばさんが隣で言う。
「えへへ……ありがとうございます。」
少し照れくさいな。
わたしは焼きあがったパンを見て、思わずほほ笑んだ。
これはリボーク、これはブンバ、こっちはレビンだ。
顔の形に焼いたのだ。もう見分けがつくのは当たり前になっている。
喜びつつグリニスおばさんに別れを告げて外に出た。
どん
「ぅわっ…！」
「おう？……ぁあああ！！お前、この前の餓鬼ぁあ！」
「ひえ……また……！」
「ふん…まあええわ。もうお前に用はない。」
「……？」
「じゃあな餓鬼！」
そういうと男は去って行った。
ダンバートンから北へ…。
「…まさかっ！」
相当嫌な予感。
頭では否定する。
だが、わたしの足は全力で地面を蹴った。
すぐに森へ着く。
お願い。
杞憂であってくれれば。
森の中を必死で駆ける。
木の枝で服はところどころ裂け、顔にも引っ掻き傷が。
それでもわたしは走った。
そしていつもの何倍も速く村に着いた。
入口に見知った影が。
「あ……ブンバぁ！」
「カフェチョコ！」
よかった。
ブンバは見張りだ。だから真先に殺されるはず。
よかった、生き―――――
「にげろお！かふぇちょこおお！！！」
ばつっ
肉を貫く音が。
わたしの視界を赤く染めた。
「…ぶ…」
「これで最後か。引き上げよう…」
弓を持った人間は、ブンバの心臓を貫くと、私に気づかずに去った。
「あ……ぶ、んばぁ……」
息が、胸が苦しい。
「かふぇ…ちょこ…。」
「っ…ブンバ…！今…今助けるから…！」
「おれ…は…だいじょうぶ……。まだ、むらに…ふたりが、いる…」
「ブンバを…助けてから…だよぉ…」
「だいじょぶって…いってるだろ…」
「でも…」
「いけ！！」
「っ……！」
「しんだら…かふぇにあえないだろ…？」
「…」
「しなないさ…ぜったい…」
わたしはにじむ視界の中、村へ走った。
顔が、熱い。
さっきのような熱風とは違う。
吐き気がするような匂い。
胸が苦しくなる、熱気。
「あ……ぁあ……。」
どこかで見たスカートの切れ端。
黒く焼け焦げる林檎。
崩れ落ちていく、村。
言葉が、紡げない。
うう……
どこかで呻き声が聞こえた。
少し幼い、小さな声。
「…れ…び…ん…？」
わたしは、崩れて燃えている家に駆け寄った。
「かふぇ……きてくれたんだ……。」
レビンがいた。
下半身が崩れた家の梁に下敷きになっている。
「レビン……待ってて、今、出してあげるから……」
わたしは落ちてる木の柱を拾うと、てこの原理でどかそうとした。
しかし、いくら力を入れてもびくともしない。
「…かふぇ……かお…けが…してるよ…？」
「え……？」
「まって…て…ぼくが…なおして…あげる……」
意識が混濁しているのだろうか。
レビンは目の前でヒーリングを唱え始めた。
しかし、光の玉はすぐに形を成さずに消えてしまう。
「あれ……？…なんで…まほう……」
わたしの、てこを押す力が、抜けていく。
魔法のせいじゃない。
己の無力さ。また、涙がでた。
「ないてるの……？」
「…れびぃん……」
「なかないで……」
膝から力が抜け、ぺた、と地面にへたり込む。
「…ぼく…ね……
にんげんの…ともだち…は…、かふぇちょこが、はじめて……」
「わたし…も、だよ…」
「いっ…しょに…たべた…ごはん…おいしかった…」
「…う…ん…わた…し…も、だよ…」
「…ねむく…なってきた…」
「…」
わたしはふらふらと立ち上がった。
リボーク。
わたしはリボークを探しに、走り出した。
村の真ん中に、リボークがうつぶせに倒れていた。
血が土に染み込み、どす黒い円を描いている。
「リボーク…！」
「かふぇちょこ…だぁ……」
「リボーク！！」
「かふぇをおっかけてたにんげんが…うらから…なかまをつれて……」
「喋らないで…もう……」
「もう…ぼくは…しぬとおもう……」
リボークは、苦しそうに少量の吐血をしながら言った。
許せない。
怒りが私の心を沸騰させる。
殺 す 。
「……ゆるさない…。
絶対に、あいつを……殺してやる！！」
「だめ……だよ……」
リボークは、弱々しく、でも強く言った。
「かれらは…ころしちゃだめ……」
なんで？
「ぼくらは……しんでも…いいんだ…」
なんで…？
「でも…かれらに…ふくしゅう…は…だめ……」
「なんで！！！！」
逆上気味にわたしは叫んだ。
「……あらそい…は…だめ…」
ただ繰り返す、リボーク。
「こんな…こんなこと…」
わたしの目から、涙があふれ出た。
「くやしいよ………」
「ぼくらは…」
リボークはの目から涙が溢れた。
「ぼくらは……。
あいされたいのに……あいされないから……」
涙が、血に混じって地面に吸い込まれる。
「だから、あいする……ん…だ…」
リボークが、ほほ笑んだ。
そして、もう喋らなかった。
わたしは、３人を担いで村を出た。
レビンは骨だけだから、鞄に。
２人の体を担いで、あるところに向かう。
重いけど、みんな一緒に行こう。
もう月が昇っていた。
着いたのは、少し高い崖の上。
わたしは簡単な穴を掘ると、まず２人をそこに納めた。
そしてレビンの亡骸を丁寧に取り出すと、鞄の中、手に何かの袋が当った。
「あ……」
わたしはゆっくりとレビンの骨を納めると、袋の中のパンも一緒に納めた。
「これしか、餞別ができなくてごめん…」
わたしは３人を土に埋めた。
漆黒の空。
ぼんやりと眺めていると、雲がだんだんと晴れていった。
そこに待っていたのは、満天の星空。
真ん中に光る大きな満月。周りを彩る小さな星達。
この世界に、こんな綺麗なものがあるのか。
愛されたいのに愛されないから、だから愛する。
悲しすぎる愛は、私が受け継ぐよ。
だから、いつか、みんな。
空という世界は、あまりに綺麗すぎて。
わたしは、しばし目をつぶった。
※ ※ ※
これでお話はもうおしまい。
もうこの村はどこにもない。
でも愛は多分なくならない。
小さな村の物語。小さな子どもの物語。
小さな旅人変えたのは、小さな愛の物語。
日記はこの日で終わってる。
それじゃまた、いつの日か。
日記 ●月☆日 ベルテン
わたしは、ヒーラーになることを決意した。
たくさんの人を、助けられたらいいとおもう。
しばらくお金稼ぎをして、授業料を稼ごう。
はじめて「彼ら」を見たとき、わたしは怖かった。でもそれは…
負けていたんだと思う、自分の先入観に。
けど、もうそんなことをしないよう頑張ってみる。
なくした人の喪失感は凄まじいから、そんな人を出さないよう頑張る。
いつか、世界が愛で満ち溢れれば。それが「彼ら」の願いだから。
カフェチョコ
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やっと終わった…。
これ題材出てからどれ位経ったのかも覚えてないくらい長かったな。
板汚しすな！と思ってる人ｽﾏｿ。
そしてもし面白いと思ってくれてる人がいたら、それはとても嬉しいこと。
ありがとうございます。
