マビノギ

木刀狼

07/08/28 02:13

前スレの縦読み参照。
そしてそのさらに前スレ参照。
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街の喧騒は今日もうるさい。
ここは昼間のダンバートン。たくさんの人が集まる街。
 
「その服、綺麗だねぇー。」
 
誰かの声が耳に入る。
僕も確かに綺麗だと思う。が、
僕には、どこか人工的で、薄っぺらに見えた。
 
「はぁ……」
 
今日は出掛けよう。
押しつぶされそうな退屈に、耐え切れそうもない。
僕は石畳に張り付いた靴の底を、強引に地面から引き剥がした。
 
僕は南東の出口から出た。
ここはあまり人はいなく、静かである。
そして、ちょうど門に差し掛かった時。
 
物悲しいマンドリンの音色が、あたりの空気をふっと包んだ。

見ると、林檎の木の下に人がいる。
赤いブロードフェザーハットを深くかぶり、
スレンダーローブを着ている。まさに吟遊詩人、といった格好。
僕はしばらくその場で、奏でられる曲に聴き入っていた。
 
 
「どうだったー？」
突如、高い声が僕を呼ぶ。
 
「…へ？」
「そんなとこで聞いてないで、もっと近くで聞いたらどう？」
 
…バレてたようだ。
素直に林檎の木へ歩いて行く。
気づけばもう夕方だ。
 
「わたくしは吟遊詩人ルー、ご清聴感謝します♪」
そう言うと吟遊詩人はローブと帽子を取って丁寧なお辞儀をした。
白の服に青のスカートの小学校の制服を着ている。
長い金髪、深く青い瞳、ローブの上からでは分からない線の細さに、
女性だと気づかされた。
 
「どうだった？」
「…何が？」
「今の曲よ。他になんかある？」
「ああ、ごめん。」
「で、感想は？」
「え～と…綺麗だった。聞いたことない、季節でいえば冬みたいな？」
「うーん…やっぱりそうなる？」
「え？」
「なーんか私が弾くと全部悲しくなるのよねー。」

そう言うとルーは腕を組んでしばらく黙りこくっていた。
そして唐突に、

「…ねえ、なんか悩んでる？」
「…へ？なんで？」
「あたしほどいろんなとこ旅してりゃ、そんくらいは分かるのよ。」
「ふーん…」
「偉い人にはそれがわからんのですよ。」
「はぁ…」
「で、なんか悩み事でもあるの？あたしみたいな知らない人なら、
何話しても大丈夫じゃない？」
 
どっちかって言うと悩んでいたのはそっちではないのか。
という突っ込みはさておき。
 
「まあ…なんていうか、楽しいことがないな、ていうのはあるけど。」
「…」
「毎日、おなじ繰り返しで、なんかなぁ…って。」
「へぇ…」
 
そう言うとルーはいきなりくるりと踵を返す。
方向的にはガイレフの丘。
そして突然、道なりに走り出した。
 
「え…あ、ちょっ！？」
 
まったく見向きもせず走っていく。
僕は反射的に彼女の背中を追った。
 
「はぁ…はぁ…はぁ…」
けっこう走った気がする。
膝に手をついて、肩で大きく息をする。
気がつけばもうガイレフの丘。少し小高くなったてっぺんだ。
まんまるい月が、ルーの影を照らしていた。
 
「どうしたの急に…はぁ…」

「上、見てごらんよ。」
 
僕は顔をあげた。
最初に目に入ったルーの顔。
彼女を通り抜ける、薄紅色の風。

 
「桜……」

 
「どう？昨日見つけたばっかり。綺麗じゃない？」
 
僕は、
 
「旅っていいと思わない？
行き先決めずにのんびりと…
ゆったり、たっぷり、自分のために、
足の向くままぶ～らぶら…。」
 
もしかしたら初めて、
 
「あたしは、色んなものを見ていきたい。」
 
この世に二つとないものを、
 
「あたしにとって、それが旅。自由。」
 
二つ、見つけたかもしれない。
 
「…君、笑えるのね？」
「…君もね。」
 
薄紅色の風。ルーの笑顔。
 
月の下、ルーがマンドリンを奏でだす。
 
さっきとは全く違う、暖かくて、やわらかい曲。
 
 
季節でいえば、春――――

「ねぇ、一緒に旅しない？」
「…うん。」
「あら、早いわね。」
「だって、退屈しなさそうだしね。」
「私も退屈しなさそう。初めてできた友達だしね。」
「え？」
「なによ。友達じゃないっていうの？」
「いや、その性格だったら、友達いっぱいいそうだなって…」
「まぁ…流しの吟遊詩人だから、ね。
少し、寂しいってのは、あったかな……。」
演奏っていうのは感情が出るものなんだなぁ、と感心した。
 
「これからよろしく、ルー。」
「うん…って…まだあなたの名前聞いてないんだけど。」
「僕は……だよ。」
「へぇ…変わった名前ね。」
「ホントの名前は違うけど。」
「なにそれ？」
「今までの僕は捨てよう、ってことで。」
「…ふぅーん。」
「ま、名前なんていいか！
改めてよろしく！黒法衣！」
「よろしくね、ルー。」
 
 
ルーは笑顔で、僕に手を差し出す。
僕は笑顔で、その手を握り返した。

薄紅色の風がまた、服の裾を揺らした。

 
 
「よーし、そうと決まったらバンホール目指して行くぞー！！
そして競争だ競争！競争をやってやらー！！」
「ま、また走るの？！」
「だーーーーっしゅ！！」
「ま、待ってーーー！！」
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ふう…疲れた。
キャラ壊しなどｽﾏｿ。
ルーは適当キャラ。桜も適当。
なんか私の小説はガイレフの丘使いすぎかな。
次はカフェチョコさんのリクで書こう。
マビの世界がいいかリアルの世界がいいのかご意見よろしくお願いする。