マビノギ

ハグッパ

07/08/04 08:04

　何時、何処で、誰に聞いたのかは忘れてしまった……。
　話の内容もうろ覚えだが、だいたい以下の内容だった……。
 

--コンニャクゆびわ--
 
　とある家族が引越しをした。
　新居に着き、大方の荷物を運び終わった頃、その家の女の子が突然泣き出した。
　聞けば大事な指輪を無くしたと言う。
 
「ただのオモチャでしょ、その内見つかるから」
 
　親はそう言ってなだめるが、女の子は泣き止まない。
　そこへ、荷物を運んできたトラックの運転手が声を掛けて来た。
 
「済みません、前の家に荷造り道具を置き忘れてしまった様で、取りに行きたいのでカギをお貸し頂けないでしょうか？」
 
　まだ受け渡しの済んでいなかったカギを、その家族は快く貸す事にした。
 
「今日中にお返しに上がりますので」
 
　そう言うと運転手はトラックを走らせた。
　しかし、運転手はなかなか戻って来ない。
　日が暮れ、夜もふけた頃、ようやく運転手が戻って来た。
 
「遅くなって済みません、カギをお返しに上がりました。それと……」
 
　そう言って運転手はポケットから何かを取り出した。
　ガテン系の大きな手、その手にはまるで似つかわしくない、オモチャの小さな指輪が手のひらにのっていた。
 
　そう、荷造り道具を忘れたというのは嘘、その運転手は有るかどうかも判らない女の子の指輪を探しに、数十キロの道のりを往復してくれたのだった…。
　その運転手は言う。
 
「私達がお運びする物はただの”物”では有りません、それにはお客様の思い出が沢山詰まっています。私達が運ぶのは、そんなお客様の思い…”心”なんです」
「だから絶対に失くせませんし、運び忘れも出来ません」
 
　泣き疲れて眠った女の子の指に、無事に戻った指輪。
　それは近所の男の子に貰った”コンニャクゆびわ”。
　二人が再開できたかどうかは、また別のお話……。
 
--終--
 

　「物より思い出」って言葉が聴かれるけど、それって、思い出の詰まった物を平気で捨てていいという意味では無いと思う。
　ましてそれが自分の意思とは無関係に失われたとしたら……。
　”失いたくない”、”取り戻したい”と思うのは当然じゃないかな……？。
 
　そして、それはゲームのアイテムでも同じじゃないかな？
　突き詰めればただの電子情報、触れることも出来ないモノかも知れないけど、それでもそのアイテムは、思い出と言う名の宝石が詰まった宝箱……。
 
　皆のインベントリには、どんな”宝箱”が有りますか？
 

　ちなみに、ウチの精霊武器は、宝箱というよりむしろ”腹ペコミミック”……|i| orz |i|