マビノギ

すぺしねふ

06/08/21 21:26

　Pi！Pi！　Ｌロッドが突如反応した。
　私は、周囲をくまなく探索し、Ｌロッドが強く反応する場所を探し出した。
「ははぁ…ここだな。」
　私は、Lロッドの魔力を解き放つと、隠された何かが浮かび上がった。
　出てきたのは、宝箱と、そして、
「なんだ、ありゃ！」
　今まで見たこともないモンスターだ！
　モンスターの頭上には、「ファイタースレート」と書いてある。
　私は、両手に持つ、買ってまだ間がないショートソードを握りしめ、戦闘態勢に入った。
　つい先日まで、フルートショートソードの二刀流で攻めていたのだが、二本とも完璧に慣れてしまった。だが、改造するための資金が乏しい。仮に改造すると、私がどうしても欲しいと思っている鞄が買えなくなるのだ。
　なので、新たにショートソードを二本購入し、その慣らしを兼ねて、イリア大陸のモンスターを、探索するついでに攻めまくっていたのだ。
　ふっ、ショートソード二刀流を覚えてから調子がいいのだ、即刻撃破してやる！　私はファイタースレートに躍りかかった！
　通常アタックの六連コンボを決め、ファイタースレートをはじき飛ばし、その隙にディフェンススキルを発動、ファイタースレートの攻撃を受け止める……が！
「ぐぅっ！」
　私の生命力が、一気に半分も削られてしまった！
　ディフェンスしていても、こんなにも破壊力があるとは！　あんな攻撃、直撃を喰らえば、一発でやられてしまう！
　はじき飛ばされた事を利用して、ファイタースレートから逃げ回った。もちろん、ファイタースレートは私を追いかけてくる、が、足の速さは互角だ。
　私は、逃げ回りながら、相手の隙をうかがった。そして、
「すきありっ！」
　一気に距離を詰め、さらに六連コンボをたたきつけた、が！
　さらに距離を取ろうとしたそのとき、私は油断してしまい、ファイタースレートの強烈な一撃を喰らって倒れてしまった。
　ファイタースレートには、ある程度のダメージしか与えられていない。それに攻撃パターンもまだ読み切っていないのだ。
　ナオちゃんへサポートを頼める回数は、３回。これなら、ある程度の攻撃さえ回避することができれば、サポートを全部使えば何とかぎりぎう倒せるはず！　私はナオちゃんを呼んで、その場で復活、すぐさま反撃を開始した！
　攻撃を加えて、すぐさま距離を取って逃げ回り、敵の隙が出来るのを待ちつつ、相手の動きが止まった瞬間こちらの攻撃を一気に決める…スケルトンに有効な、典型的なヒット・アンド・アウェイ作戦を使い、少しずつダメージを加えていった。
　しかし、またもやファイタースレートの一撃を喰らい、倒れてしまった。
　だが、今回の戦闘で、ファイタースレートも、ずいぶん弱っている。おそらく、次の六連コンボ１回で倒せるはずだ。
　私はナオちゃんの最後のサポートを受け、その場で復活した。
　復活して、再び両手のショートソードの感覚を確かめた。泣いても笑っても、これが最後だ。ファイタースレートが守る宝箱の中身に期待しつつ、…やるか、やられるか、勝負！
　武器を構え、ファイタースレートへ突撃した、そのとき！
　ファイタースレートを、不思議な光が包んだかと思った次の瞬間、宝箱もろとも、ファイタースレートは、その場から、音もなく消え去った。
「…………。」
　ファイタースレートが消え去ったその場には、呆然と立ちつくす私と、やわらかな風の音、そして虚しい空気が漂った。
 
　しくしくしく…。