マビノギ

なつんちゃん

13/05/20 20:48

「ほら早く！　この店だよ！」

「う、うん・・・」

ウキウキの彼女と対象的に私の足取りと気分は重い・・・。

暖簾を潜るとおいしそうな匂いが漂ってくる・・・。

「いらっしゃいませ」

「予約してた○○ですけど～」

座敷に通され、まずは彼女はビール、アルコールがダメな私はウーロン茶を注文、なんとなく乾杯するとさっそく彼女が調理してくれた・・・。

基本、出されれば食べるが、自分からは絶対食べない大の”肉嫌い”の私の偏食（？）を直そうと、とあるお店へ連行されたのだ・・・。

牛脂を熱くなった鉄鍋へなすりつけ、彼女はなぜかうれしそうにニクを箸でつまんで鍋底へ敷いた・・・。

そう、ここはすき焼きの専門店、デートでの食事は基本的に私の好みは二の次で（ま、ニク嫌いだから仕方ないけど）彼女の大好きなニク系になっていて、自分ひとりが肉を食うのが周囲の目も気になるらしい。

”一緒にお肉食べたいの！”

その気持ちはうれしいんだけどねぇ・・・。

彼女が肉を焼いている合間に卵を割って溶き卵を二人分作った。

半焼け状態で肉をひっくり返し、肉を広げた彼女は・・・。

「えええええええええええっっっ！！！！！　それ入れるの～！？」

肉の上にこんもりと盛られた砂糖の山、私のテンションは一気にダウン、（甘いのもニガテ）あ、あれ？すき焼きって砂糖をあんなに入れるんだっけ？

私が見たことあるのは鍋みたくグツグツ煮込んでたような・・・。

ひきつった顔の私の溶き卵の中にニコニコ顔の彼女が焼きあがった肉を入れてくれた・・・。

「さっ！食べて、食べて♪」

怖々と箸でつまんで糖分を濯ぎ落とすように溶き卵の中でかき回して口に運ぶ私・・・。

「どう？おいしいでしょ？」

「う、うん、おいしいよ、もうこれだけで十分満足だよ」

たぶん涙目だったと思う。

後の調理を仲居さんに代わってもらって食事開始、次々に焼かれる肉、私は肉は積極的に彼女に勧め、野菜やら豆腐やらで食事を進めた。

最初変な顔して私を見ていた仲居さんだったが、溶き卵用の卵で”卵掛け御飯”をはじめた私を見てようなく察してくれたらしい。

「どう？少しは肉好きになった？」

おいしい肉料理を食べれば少しは肉が好きになるだろうという心遣いなんだろうけど・・・。

すき焼きにあんなに砂糖をブチ込むとは思ってもみなかった！

卵掛け御飯とすき焼き風味の野菜類で約二万円、やっぱり好き嫌い直すってお金かかるのね・・・。

あんだけ肉食ったのにまったく太らない彼女の体質がうらやましい・・・。

他の肉嫌いのミレシアンも私と同じような感じなのだろうか？