マビノギ

-とある王国で生まれた二人の皇女-

第一皇女 イウェカ
第二皇女 ラデカ
エリンの空に輝く天体の名を授けられし二人の姉妹は
その名に込められた両親の願い通り、幼い頃より深い絆で繋がっていた

姉イウェカは剣術の才があり、強く勇敢で「妹を守る」ため戦う力をつけた
妹ラデカは魔法力に優れ、慈悲深く温厚で「姉の役に」その献身的な想いで姉を慕った

しかしそんな二人の運命の歯車は突如として狂いだす

王国に潜んでいた隣国の内通者により
兵士遠征中の隙を突かれ王宮への侵攻を許してしまう
真っ先に国王の元へ辿り着いたイウェカ
その瞳に映る凄惨な光景に言葉を失った

黒き甲冑の男に貫かれしは父ローゼス
その傍らには鮮血に染まりし母クレアの姿が

怒号響き渡り刹那、イウェカの剣が男の心臓を貫いた
崩れゆく男、転がり落ちる兜
枯れた瞳に飛び込んできたのは見知った者の姿だった

甲冑の男、名をジェスタ
姉妹が幼い頃より慕っていた国王の実の弟である

しかしそれ以上涙が流れることはなかった
彼女の心は初めて芽生えた憎悪と復讐の感情に飲み込まれ「心」を失っていた

王の間に辿り着いたラデカの目に飛び込んできたのは
ジェスタに突き刺さる剣を引き抜くイウェカの姿
ここまで懸命に握り締めていた剣は音を立て地面へと「堕ちた」

鋭い形相で自分の横を通り過ぎるイウェカを
ラデカは止めることはおろか、声を出すことも叶わず
目の前の惨状を現実として受け入れることを無意識に拒絶し立ちすくんでいた

その後イウェカは王宮地下に封印されていた魔剣ゼクシーダを奪い消息を絶つ


ラデカは全ての真実を知り、姉の行方を捜すも
何一つ手掛かりを掴むことはできなかった

亡き王の意思を継ぎ、王国と国民を守るため
そして二度と同じ過ちが繰り返されぬ様、その瞳に光を取り戻したラデカ
王国の防衛力強化、他国との協力関係構築に、より一層力を注いだ


程無くして隣国が一夜にして陥落したという情報と共にイウェカの名を聞く事となる

復讐を引き金に魔剣に心を支配され破壊を繰り返す
真紅のイウェカ

破壊を阻止し姉を取り戻すために戦うことを決意した
蒼穹のラデカ

運命られた結末は今・・・


この話をしてくれたシスター「クレア」は
とても綺麗な蒼い髪をしていた

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