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麻穂_tar |
05/05/18 19:51 |
あれは忘れもしない先々週の土曜日
買ったばかりのクレイモアの切れ味を試したくなった私は黒オオカミの生息地へ向かった
服の色に合わせた柄がピンクのクレイモアだ
実際に装備してみるとピンクというより赤紫に近かったが、刀身の付け根がこれ以上ないほど完璧なピンクだったため、私は気に入っていた
魔法に特化したスキル振りのため、アタック・スマッシュともにランクＦの私にはバランス特化ハンマーですら黒オオカミは強敵だった
しかし、世界が変わったとはこんな時のことを言うのだろう
恐ろしかった黒オオカミが面白いように３連撃で倒れていく
私は修理代の調達も兼ねて暫く黒オオカミ狩りを続けることにした
どれくらいの狼を切ったのだろう
金貨を拾おうとした瞬間、ものすごい重力がかかり一瞬体が動かなくなった
直後、頭の中に声が響いてきた
「ティルコネイル牧草地東の野原に巨大な白オオカミが現れた」
迂闊だった
クレイモアに気を取られていた私は村長からフィールドボスの情報を聞いていなかった
私が前にやつらを目撃したのは赤キツネたちの縄張りだった
今回も同じ場所に出たとしたら、今から移動しても間に合わないだろう
そう判断した私は黒オオカミ狩りを続行するため視線をめぐらせた
すると、視界の端にここにいるはずのない３匹の白オオカミが見えた
慌てて奴らのほうに向き直ると、まだこちらに気づいていない巨大白オオカミが暢気に歩き回っていた
攻撃を受けていないからライフは減っていない
マナは・・・十分回復している
スタミナ・・・問題ない、いける！
私は巨大白オオカミのうちの１頭を視界の正面に捉え、ファイアボルトの詠唱を始めた
５回目のファイアボルトの詠唱が終わる
もう一度あたりを見回してみたが人の姿はない
そのかわり、近い位置にいた白オオカミのうち数頭がこちらに気付き警戒態勢で周囲を回り始めていた
だが私の標的、巨大白オオカミはまだこちらに気付いていなかった
その油断しきった背中に思い切りファイアボルトを撃ちこんだ
奇襲を受けた敵が反撃のスマッシュを叩き込んでくる・・・が、遅い
既にカウンター待機を終えていた私は敵の突進をそのまま跳ね返した
カウンター直後は再度カウンターを構えるのに普段以上に時間を必要とする
私はディフェンス状態で次の攻撃を待つ
敵のアタックをディフェンスで受ける・・・ダメージ１、問題ない
そのまま姿勢を崩した敵にクレイモアを叩きつける
一発・・・二発・・・三発！かわされた！？
一転して隙だらけになった私を敵の牙が襲う
クリティカルヒットを受け私は地に付した
だが、私にはナオが味方してくれている
すぐに完全回復状態で起き上がったが、敵の様子がおかしい
どうやら私が倒れたことで安心して警戒するのをやめたようだ
このチャンスを逃す手はない
再びファイアボルトを詠唱する
白オオカミたちの奇襲を防ぐために戦闘モードを解除することも忘れていない
敵のライフは残り半分、私の復活に気付いた敵が振り返るがもう遅い
今度は正面からファイアボルトを撃ちこみ、再びカウンターで敵の反撃を跳ね返す
同じ失敗をしないため、今度はディフェンスではなくライトニングボルトで動きを止めることにした
が、詠唱を始めた直後に再びすさまじい重力が私を襲った
どうやら他の冒険者たちが白オオカミ出現の報を聞いて集まってきたようだ
ようやく重力から開放された時には既に地に伏していた
再びナオを呼んで起こしてもらう
その間にも冒険者たちは巨大白オオカミへ殺到していく
一人が私と戦って傷ついた奴に攻撃を加えて返り討ちにあっていた
敵の残りライフは既に肉眼で確認するのも難しい、この程度なら・・・
私はトドメをさすべくスマッシュを構えて突っ込んだ
「麻穂さんが牧草地東に現れた巨大白オオカミを退治しました」
長かった・・・
ディアンから手紙を受け取ってから既に３歳も年を取っていた
羽を持っていなかったため、倒れた人に謝罪しつつ、ディアンへの報告と魔符の換金のため私は村へ戻ることにした
ディアンへの報告が終わり、ふと気付いて手元のクレイモアの耐久度を確認した
祝福された クレイモア 14/20
・・・どうやら、かなり酷使させてしまったらしい
魔符の換金の前にまず修理しておくことにした
私は今までファーガスにメイン武器を削られたことがなかったため、それなりに彼を信用していた
タイトルがラッキーになっていることを確認し、クレイモアを預ける
「残念ながら３ポイントほど失敗してね、まぁ３ポイントだけでも修理できてよかったよ」
っっっっっっっっファーガス！
よりにもよって一番高い武器を！
ファーガス狩ギルドに入りたいと本気で思った瞬間だった
注：シリアス(？)な内容にするために普段と文体を変えています
普段はこんな喋り方しませんのでｗ
